日記

神々しい表大雪
2021.07.04

2時前、ゴソゴソヒソヒソと他のテントから出発の準備をする登山者の動きが聞こえくる。トイレに起きると満天の星空だった。これはひょっとしたらひょっとするかもしれない。
ドキドキワクワクする気持ちを抑えつつ、出発準備を急いだ。いつもよりも1時間ほど早く朝食を済ませたためか、食後に胃痛が出てしまった。お守りのよく効く胃薬を飲み、3時半に出発した。もうすでにヘッドライトが必要ないくらいの薄明かりだ。

まずは白雲岳の肩へと登った。すると目の前には明るくなる大雪山のお鉢が見えた。一気に気分が上がった。
さらに進むと朝日が大雪山中心部を照らし、足元の雪渓がキラキラと輝いた。
興奮気味に北海岳へと登ると、立ち入りができないお鉢内部とお鉢の奥に、最高峰の旭岳が見えた。
今はまだ雲は一つもない。学生時代を思い出すように、お鉢を間宮岳方面へと走った。

間宮岳手前で、分岐となり、裏旭キャンプ指定地に下りていく。その途中で旭岳の南斜面から霧が発生し始めていた。そのスピードは早く、裏旭キャンプ指定地からアイゼンをつけて登り出す前に、山頂を包み隠してしまった。とにかく、回復することを信じ最後の斜面を登った。真っ白な霧の中に目的の山頂標識が見えたが、依然状況は変わらない。
午前6時過ぎ、298座目大雪山(旭岳)に登頂した。
登頂の興奮と「晴れろー晴れてくれー」の声が届いてくれたのだろうか。それから30分後、ブロッケン現象が発生し、包み込んでいた霧が一気に晴れた。すると、眼下には噴煙を上げる地獄谷と懐かしい姿見池。
トムラウシ山に高根ヶ原、お鉢、そして、299座目となるニセイカウシュッペ山も見渡すことができた。
最高の夜明けから始まり、途中、山頂が霧に包み隠されてしまったがドラマチックに霧が晴れ、山頂からの素晴らしい展望が広がっていく展開に、感動と興奮が収まらなかった。
「このまますんなりとゴールまで歩けるのか…歩かせてもらえるのか」の言葉に緊張感高く始まった十勝大雪山系の縦走。
雷雨にみまわれることもあったが、初めて歩くこの季節に、たくさんの高山植物にも出会え、かけがえのない感動の場面や景色にも出会え、それが縦走最後のこの山で全てが実を結んだように思えた。

立ち去るのが惜しかったが、裏旭側へと下り、間宮岳へと登り返した。振り返るといつの間にか、山頂には雲がかかり、再び包み隠されてしまった。
本当にこれ以上ないタイミングと劇的な展開だったことを黒岳へと歩を進めながら感じた。

黒岳に着く頃には、雲は大雪山全体に及んでいた。
ここで6年前にお亡くなりになった谷口ケイさんに、焼き菓子を添えてコーヒー(インスタントで申し訳ないが‥)を淹れ、手を合わせた。
ケイさんに別れを告げて、層雲峡へと下山。途中7合目から雨となったが、昼過ぎに無事下山。
登山口近くの神社にてお礼を伝え、8泊9日のこの旅最後となる縦走が終わった。

残りは、3座だ。

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 この日記に書かれている場所はこの辺りです