日記

冠雪初冬の後方羊蹄山
2020.10.18

羊蹄山(ようていざん)の裾野、比羅夫(ひらふ)登山口手前にある蝦夷富士(えぞふじ)小屋を6時過ぎに出発。小屋のご主人が悲願だったという、ニセコアンヌプリと後方羊蹄山(しりべしやま)を徒歩でつなぐ宿泊者第一号として、それを完結すべく山頂へ向けて登りだした。

比羅夫登山口は羊蹄山の西側からのルート。山頂の外輪山に出るまでは、長らく日陰となる。そのため、気温の上昇は緩やかだ。
情報では7合目付近から積雪があるとのこと。8合目からは10センチくらいという。昨日もたくさんの登山者が歩いたと思われ、朝一番は踏み固められた登山道が固く凍っていることも予想された。久しぶりにチェーンアイゼンの出番かもしれない。
麓は秋だが、標高1500メートル以上は初冬だ。6年ぶりの羊蹄山、前回よりも1ヶ月季節が遅い、緊張は高く、不安も抱きながらのスタートとなった。

1合目までは樹林帯の中を緩やかに登る。2合目手前で風穴内にヒカリゴケを見つけた。さらに立ち枯れした木々には、天然のナメコがびっしりと!今は見るだけ…で楽しみながら2合目、3合目と順調に標高を上げていく。
木々の間から、眼下に倶知安(くっちゃん)の街や朝日を浴びるニセコアンヌプリ、紅葉した裾野が見えた。

先行していると思われる他の登山者に5合目以降から追いつき始めた。6合目からは高木も少なくなり、吐く息もまだ白い。7合目から先で足元が滑りやすくなったため、チェーンアイゼンを装着した。久しぶりの感触を確かめながら登り続ける。8合目で辺りの灌木にはびっしりと霧氷が張り付いていた。
9合目まではコースタイムの半分ほどのペースで登りきった。背丈を超える木々はなくなり、ようやく太陽の光が目に届いた。振り返ると銀世界から、晩秋を感じさせる紅葉の裾野へと、季節の移ろいがはっきりと見え、山が作り出す世界に息をのんだ。

9合目以降はペースを落とし、今年の冬の到来を一歩一歩踏みしめながら、今シーズン初の雪上歩行を楽しんだ。そして、出発から3時間半で外輪山へと登りきった。
6年前は山頂部には厚い雲がかかり、強い風と視界不良、雨と寒さで景色も、外輪山も、のんびり過ごすことも出来ずに下山する事になったため、今回見る景色や外輪山の姿は初めての経験となる。
前回の分も味わうように、旧小屋跡から時計回りで最高峰へと歩みを進めた。
さすが、標高1900メートルに迫る山だけあって、日差しはあるが、風は冷たく、日中でも気温は低そうだ。

運よく山頂は風下となり、日差しを暖かいと感じることができた。山頂にはすでに数組の登山者が岩に腰を下ろして、景色を眺めていた。
同じように、腰を下ろし、温かいコーヒーを飲みながら、景色を眺めた。いつの間にか緊張や不安はなくなり、ただこれ以上ない天候に恵まれたことに「今日でよかった。やった!」という気持ちに包まれた。

山頂で1時半程過ごし、雲が増えてくる前に、6年前と同じ喜茂別(きもべつ)コースを駆け下りた。
13時過ぎには無事下山を終え、宿泊先への道すがら、何度も振り返り、そびえる羊蹄山を見上げては、「ついさっきまであそこにいたんだよな~」と不思議な感覚にもなった。
蝦夷富士ともいう羊蹄山の姿がいつまでも美しかった。

※事務所注:羊蹄山(ようていざん)は別名、後方羊蹄山(しりべしやま)、蝦夷富士(えぞふじ)と呼ばれています。文章内に3つの名称が出てきますが、すべて同じ山のことを指しております。深田久弥著「日本百名山」では後方羊蹄山の名で登場します。

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