日記

八雲からせたなへ48キロ
2020.10.08

夜も明ける前、静まる宿の部屋でガタガタと朝食の準備を進めた。
6時過ぎ、吐く息は白く、寒さで身体が強張った。また一歩、ぐっと冬が近づいたことを感じながら、八雲町の中心地を抜け出した。背中の朝日が暖かく、心強い。

酪農が盛んな八雲町、せっせと早朝から食事にいそしむ牛たちに「もーぅも~」と挨拶をして、走り出した。
今日は八雲町から日本海側のせたな町まで、一気に渡島半島(おしまはんとう)を横断する。距離は48キロ。7月の旅再開後では最長の移動距離だ。理由はその間に町も宿もないため。これでも最短距離なのだ。
百名山や二百名山の時であれば、平均的な距離だが、今回の旅では、1日30キロ平均のため例外的だ。しかし、北海道ではこういう日が多くなる。久しぶりの長距離移動に少し緊張しながら、峠を越えるまで走りつづけた。15キロの荷を背負ってのランニング、ペースを上げすぎずに時速7~8キロをキープし続けた。

自分でも感心するほどに、25キロまで走りきることができ、後半はせたな町まで、下り基調の道をてくてくと歩き続けた。国道に合流すると民家が軒を連ね、町の中心部が近くなっていることを感じた。昼食を背負っていたが、途中で商店を発見し、そこで懐かしい「焼きそば弁当」を食べた。本州なら素通りする事が多かった小さな商店も北海道では、大助かりとなる。

これからは、夏場は営業しているが、11月以降休業となる飲食店も増えてくるため、毎日の昼食は基本的に携帯しなければならない。
腹ごしらえを終えて、商店の女将さんたちに「狩場山(かりばやま)頑張って」と見送られ、宿までの残り6キロを歩いた。さすがに40キロを超えてからは、両足裏に痛みが出て、我慢の歩きとなった。
夕方、日が短くなったのを感じながら、後志利別川(しりべしとしべつがわ)に架かる橋から、山々の奥深くに狩場山が見え、ようやく心が弾んだ。
明日も長い1日となる。今日の疲れを残さないように、よく食べ、よく寝た。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです