日記

北海道1座目
2020.09.30

北海道1座目の朝は早い。その予定だったが、昨日の疲れが影響して、4時半に起床することができなかった
薬が効いたため、頭痛はすっかり無くなっていた。出発は結局、辺り明るくなった6時過ぎ。吐く息は白く、まだ静かな福島の街を出て、大千軒岳(だいせんげんだけ)奥二股コース登山口へと向かった。歩き始めは足取りも軽く予想以上に良好だ。

昨日、津軽海峡横断を終えたばかりで、翌日には登山。少し無理をしすぎている感もあるが、これから先は雪との競争にもなるため、これまで以上に体調や疲れ具合よりも、天候を優先することが多くなる。冬が近づく中で、登山が出来るチャンスを逃すわけにはいかない。

大千軒岳は昨日も津軽海峡横断中からよく見えていた。福島町内からの直線距離では大分近くにあるのだが、登山となると話は違う。登山口までは町内から片道15キロ、そこから知内川(しりうちがわ)に沿って、何度も渡渉を繰り返しながら、源流へとつめていく。そして、二股から一気に急な尾根を登って山頂稜線へと出る。山頂までは片道6.5キロほどだ。ちなみに二股までは約4,5キロ。
下山も同じルートのため、往復で13キロ。登山口から宿まではさらに13キロあるので、1日の総距離は、41キロ以上となる。和賀岳(わがだけ)以来のなかなかタフな1日だ。

出発が遅れたため、空模様を気にしつつ小走りで登山口へと急いだ。
国道から外れヒグマがよく目撃されているという林道に入り、熊鈴だけではなく、スプレーをいつでも噴射できるようガンマンのように腰に装着し走った。

8時に登山口到着。休まず登山を開始した。橋が流されたために早速の渡渉(川を横断)。靴が濡れないように飛び石をつないでなんとか渡れた。
そこからはしばらく、急な斜面をトラバースしながら、知内川に沿って歩く。小さな尾根谷の繰り返しで小刻みにアップダウンの繰り返し。広い河原から先は比較的歩きやすく、ペースが上がった。
かつて江戸時代初期に金山だった知内川上流部。その痕跡がいくつか遺されていた。また、迫害を受けたキリシタンが金山番所にて処刑されたという悲しい歴史にも途中触れながら、午前11時前二股に到着。予想以上に時間がかかった。

主稜線までの急登に入る前に早めの昼食をとった。上空は濃い雲が絶え間なく流れていた。回復を信じ、いざ急登へ。
ところが、登り始めて直ぐに体調が急変。腹痛に加えて頭痛もでてきた。昨日の疲労がまだ残っていたようだ。薬を飲んで、その場しのぎをしながら、ペースを落として我慢の登山となった。それでも1時間もかからずに十字架が立つ主稜線へと登りきった。

まだ雲は低いものの、主峰大千軒岳はしっかりと見えていた。一歩また一歩と一面の草紅葉の中を山頂へと進んだ。出発から4時間ほど、北海道1座目大千軒岳に初登頂させてもらえた。
麓よりも秋が進んだ優しく美しい曲線が前千軒岳へと続いていた。到着できた喜びから、少し体調も回復していた。山頂からは雲は風に流され、遠く昨日渡ってきた津軽海峡や日本海、函館まで見渡すことができ、北海道にいながら、ここが北海道本土ではなく大きな島のように思えた。

山頂での短い時間を堪能し、あっという間に西へと傾く太陽を背に登山口へと下山を開始した。
宿に到着するころには、すっかり薄暗くなっていた。
体調不良もあったが、これから始まる長い北海道の山旅に、いい流れを作ることができたと思う。温泉がいつもより、体にしみた。

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