日記

東北最後の山
2020.09.19

東北(本州)最後の一座を登る朝がやっときた。宿の朝食を頂きながら、スカッと晴れた空に自然と気分が高ぶるのが分かった。食事を進めながらも空模様や登山口へと向かう登山者の姿が気になって仕方がない。逸る気持ちを抑えながら部屋へ戻り、いつになく素早く準備を終えて、外へと飛び出した。燦々と降り注ぐ太陽が気持ちがいい。昨日の雨のおかげもあり空気は透き通っていた。
振り返り、さぞかし八甲田山もはっきり見えているだろうと思っていたが、現実は違った。山は予報通りのようだ。でも、落ち込んではいない。予報では午前中雲が多く、回復は午後からとなっているからだ。

今日は東北最後の一座となる八甲田山を一日かけてゆったりと歩けるように、酸ヶ湯(すかゆ)温泉スタートの酸ヶ湯温泉ゴールとした。
まずは広大な湿原や池塘が点在する毛無岱(けなしたい)へ。酸ヶ湯温泉から中腹は最高峰大岳(おおだけ)から遠ざかるように、ゆっくりと毛無岱へと登っていく。事前の情報で、連日の雨で木道は川になっていると聞いていたため、覚悟して歩いた。時々、雲の切れ間から太陽が差し込む中、うっすらと紅葉を始めている湿原を進んでいく。序盤から笑顔が止まらない。

下毛無岱から見上げるような280段の木段を上り、上毛無岱へ。上毛無岱の休憩所で八甲田山の主稜線にかかる雲が晴れるまで待ってみることにした。すると思いが通じたのか、わずかな時間だが雲が取れ、この日初めての八甲田山大岳とのご対面が出来た。
その後再び、強い西風により運ばれてきた雲がかかり、八甲田山はお預けとなった。

上毛無岱から最短コースで登れば1時間もかからずに山頂だが、毛無岱とは違う火山としての八甲田山を見るために、少し荒れている宮様(みやさま)コースを経由して、赤倉岳と井戸岳を雲に包まれながらも縦走した。雲の切れ間に現れたのは、巨大な赤倉岳の爆裂火口と、その先の美しく見事までの井戸岳の火口だった。どちらも強い風をまともに受けながら火口の縁を歩き、風が幾分穏やかな大岳鞍部避難小屋へと駆け下りた。
小屋の周りは、昼食をとる登山者でにぎわっていた。小屋の中は空いていたので、中で湯を沸かして、コーヒーを飲みながら、昼食を取った。

40分ほど休憩していると、小屋に日が射し込んだ。窓を開けると井戸岳を包んでいた雲はすっかり無くなっていた。今回は予報通りにことが進んでいるようだ。風はまだ強いが日差しは暖かい。満を持して最高峰大岳へと登った。

登り始めて20分で山頂に到着。遠く津軽半島や下北半島、陸奥湾、そして岩木山も望むことが出来た。さらに、南八甲田、今いる北八甲田の山々の全容を見渡すことが出来た。
ここが東北最後の頂きだと、実感するのに差ほど時間を必要とはしなかった。
広い山頂から見渡す景色、どこを切り取ってもいい。
ここから北海道まではまだ遠く、肉眼では見えないが、津軽半島の先に必ずある次なる舞台に向かい右手を突き上げた。

1時間以上留まっていたが、山頂が名残惜しくなかなか下山出来なかった。
6年前の分も合わせて、八甲田山を満喫する事が出来たと思う。山頂の小さな神社に手を合わせ、酸ヶ湯温泉へと下山を開始した。いつも下山はあっという間。1時間ほどで酸ヶ湯温泉に到着。感無量で東北最後の山を無事終えることが出来た。

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