日記

青森県一座目
2020.09.11

昨晩はなかなか寝付けず、結局睡眠時間は3時間となってしまった。
夜明け前に食事を済ませ、山荘のご主人に笑顔で見送られて、5年ぶりの白神岳(しらかみだけ)へと向かった。

今回は山頂までは前回と同じコースを登り、下山は十二湖コースを縦走して、青池へと出ることにした。山荘のご主人から、ここ数年縦走コースは刈り払いされていないから、笹藪が続くが踏み後はしっかりある、と聞いていたため、ある程度の覚悟はしていた。
山頂までの道のりはしっかり管理されていて、とても歩きやすく、白神山地を代表する、純度が高いというブナ林を登っていく。5年ぶりではあるが、前回の記憶が驚くほどにない。

二股分岐の手前の水場は、地図と実際の場所が異なり間違えてしまった。これは前回も同じだったことを思い出した。マテ山コースに入り、尾根までの急斜面となり、蒸し暑さから汗が噴き出した。先行する登山者の痕跡はなく、ブナをアンカーした蜘蛛の巣に何度も顔が引っかかり、「これが先頭の宿命だ」とこぼしなから主稜線へと出発から3時間で登り切った。
そこから山頂まではあっという間。
誰もいない山頂に5年ぶり、青森県1座目の登頂となった。

雲は多いが、霞がかる白神山地が見えた。山頂でのんびりといきたいところだったが、この日のクライマックスはここから先。しっかり食料補給をして十二湖コース分岐まで戻った。遠く日本海側から雷鳴が聞こえてきて、縦走に迷いが出たが、雨雲レーダーを確認して、雷雲はこちらに流れてこないことがわかり、意を決するように進んだ。

出発して直ぐにこの先の道のりが想像よりも険しいことを覚悟した。
笹藪は背丈ほどにもなり、灌木も行く手を遮っている。先日の太平山縦走がかなり楽だったと思えるような道のりだ。標高が下がると笹は深く背丈を超え、背を屈めながら、幾度となくかき分け進んだ。迷いや決心が鈍ると途端に前へ進む速度が落ちるため、そうならないように何度も自分自身を鼓舞させた。まさにアドベンチャーレースのようだ。

山頂から3分の2となる大峰岳(おおみねだけ)まで約2時間で到着。予想以上に体力を消耗していた。崩山(くずれやま)までは汗と草露で全身ずぶ濡れとなり、前半のような推進力が無くなってしまった。それでも前に進めたのは、青池を見たいという思いだった。崩山まで激しい藪漕ぎを1時間で抜けると、そこから先は、歩きやすい登山道となった。それまでとくらべると高速道路のようだ。
ヘロヘロになりながらも青池前の登山口に、縦走開始から4時間ほどで下山できた。
無事の下山に、達成感十分。十二湖めぐりは肩の荷を下ろして、見学できそうだ。

十二湖で1番注目を浴びる青池には、多数の観光客が遊歩道を歩いて見に集まっていた。実は青池には、笹藪の長く険しい十二湖コースを縦走しなくとも、簡単に見に行くことが出来る。逆側から車で上って来ることができ、近くの駐車場から400メートルほど歩けば、青池までいけるのだ。
観光客の中には「なんだ。ぜんぜん青くないじゃん」と嘆く声を上げていたが、苦労して山を越えてきた人に取っては、写真で見たほど青くはなくとも、とても神秘的に見える。十二湖には実際、大小30以上の池があり、宿へ向かいながらいくつかを見て回った。
青池も神秘的だったが、個人的には沸壺の池(わきつぼのいけ)の方が雰囲気が好きだ。
白神岳自然の深さを存分に味わう1日となった。

!登山ルートをYAMAPでチェック!

 この日記に書かれている場所はこの辺りです