日記

太平山
2020.09.02

東北も残り5座。
そのなかで、初めて登るのが、太平山(たいへいざん)だ。秋田市の郷土の山ともいわれ、昔から「みよしさん、さんきちさん」と親しまれているという。
今いる旧河辺町からみると、その山並みがまるで、蛇が横たわっているように見えることから、「蛇ばみ岳」と呼ばれていたこともあるそうだ。

7時過ぎ、まだ涼しさが残る中、宿を出発。太平山へのルートではあまり使われないらしい、丸舞登山口を目指して林道を進んだ。登山口はひっそりとした谷間にあり、標識には山頂まで、6.7キロとある。前半の炭坑跡地までは沢を何度も横断しながら、沢沿いを進み、後半は一転して、急な尾根登りとなる。

前半は予想以上に歩きやすく、6つある橋の2つ目が流されてなくなっていたり、沢沿いが一部崩れていたが、全体的には歩きやすく、清らかな沢が美しく、涼しさも得られた。沢歩きにも良さそうな雰囲気で、思わず足を何度も止めてしまった。

尾根登りが始まる直前に、不帰沢の大滝へ寄り道した。立派な滝に息をのんだ。そして、靴を脱いで、滝壺へ。急登に備えていうよりも、ただ滝に打たれたくなった。
滝に打たれて、身も心もシャキッとして、山頂への急登が始まった。
登りはじめは良かったが、次第に蒸し暑さが増して、滝のような汗となった。とうとう、標高900メートル付近で足が止まってしまった。
一休みして、気持ちを再び入れ直し、最後の山頂直下の不帰沢の清水を力水として、一気に登りきった。
山頂には、他にも登山者がいて、待ちわびていたように拍手で温かく迎えていただいた。
予定より1時間ほど遅れての登頂。山頂は少し強いが涼しい風が抜け、火照った体を急速に冷ましていった。みよしさん、さんきちさんと親しまれているという太平山山頂には、大きな三吉神社の奥宮が建立されていて、無事に初登頂させていだだけたことへの感謝を、手を合わせて伝えた。そのあとは、吹き上がる風を浴びながら、ゆっくり山頂で昼食を取った。

1時間半ゆっくり体を休め、午後は、蛇ばみ岳と呼ばれていた前岳までの縦走路へ。
事前の情報収集で、地元の自然保護官の方から、剣岳から中岳間の約3キロは北側の急斜面をトラバースするため、滑りやすく、この2~3年、刈り払いも、登山道整備もしていないという。また、倒木も多く、足場が悪いところが多いタフなルートと説明をいただいた。
心していたが、その言葉以上の険しい道のりに、中岳に抜けるまでに1時間ほどかかり、体感ではそれ以上に長かった。緩やかに太平山最高峰奥岳から下っているのだが、下山というよりも太平山に再び登っているような、登山がまだ続いているような感じだった。
なんとか中岳まで無事に抜けて、前岳、女人堂跡地を通過して、下山開始から3時間半で無事に271座目を登り終えられた。

これで、残りは30座。下山後、宿で汗を流しながら、「やっぱり山の険しさは標高ではない」と再確認したのだった。

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