日記

3ヶ月ぶりの一座
2020.07.20

259座目の鳥海山を登ってから3ヶ月。前進の朝が来た。
夜明け前に起床。心配していた天気を確認するため、窓を開けて東の空を見た。
薄明るい空に雲は一つもない。
良し!予報通りだ。

区切りの260座、神室山(かむろさん)への出発準備を進める。
間もなく、山を越えて光が部屋に差し込んだ。
いつもなら少し出発時間に遅れてしまうが、再開後最初の山だけに、いいスタートを、いい流れを作りたく、準備は出発15分前に終えた。

久しぶりの登山、夏山は今年初めて、緊張する自分を落ち着かせるため、ベットに横たわり10分だけ目を閉じた。そして、出発五分前に部屋を出た。
やるべきことはただ一つ、神室山に登頂して無事秋田県側へ下山すること。
高なる鼓動に合わせて、せっせと5キロ先の登山口へ歩いた。

神室湖から神室山山頂が早速見えた。二股までは湿った沢沿いの登山道を緩やかに登っていく。久しぶりの登山でいつもように登れるか、いつもようにイメージ通りに身体が動いてくれるか、不安を抱きながらも、ゆっくり一つ一つ確認するように登った。
二股から急登が始まる地点までは、コースタイムから少し短縮して到着。そこから標高差700メートル以上の急登は、登山に必要なお尻や脚裏の筋力不足で力強さは薄れていたが、なんとか主稜線まで1時間ほどで登りきった。

主稜線に出てようやく展望が広がり、登山道脇にはたくさんの夏の花が何種類も咲き誇っていた。眼下には雲海、遠くにはこれから登る山々が見える。東北らしい緩やかな曲線を描く山々が広がった。

出発から2時間40分で260座目神室山に無事登頂した。
神がすむ山、神の家というように、東西南北に優しさを感じる山並みが広がっていた。
これでようやく山形県を無事に終えられる。秋田県側の下山口へとパノラマコースを縦走し、東北北部へと3ヶ月遅れで下り立った。

5年前、神室山登山前に突然の歓迎をしてくれた役内集落を通過すると、今回もたくさんの方々がマスク姿で迎えてくれた。懐かしさが蘇った。当時、伝統の神楽を踊り、安全登山や旅の達成を祈願してくれた会館に立ち寄り、奉られる神様に5年ぶり二度目の登頂をさせていただけたこと、再びこの地に戻ってこれたことへの感謝を伝えた。
そして驚くことに、なんと偶然にも5年前と同じ日に神室山に登頂していたのだ。ご縁を感じずにはいられなかった。

もう少し梅雨が続き、新型コロナウイルスの感染拡大も気になるが、再び旅が動き出したことを噛み締めた。
麓は30度を超える暑さ、今年の夏はすぐそこに来ている。

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