日記

ただいまー
2020.03.10

2ヶ月半前にもお世話になった湯野上(ゆのかみ)温泉の民宿から、雨が降り出しそうな空の下、会津若松市へ向けて出発。
相変わらず交通量の多い、国道を淡々と走った。
芦ノ牧(あしのまき)温泉までは国道が狭く、なるべく早く抜けたい一心だ。歩道が出てからはペースを落として歩いた。

前回は、出発早々に雨が降り始めたために、会津西街道沿いの家並みに注目することがなかった。しかし、今回はゆっくり歩くことで、茅葺き屋根にトタンがかけられた古い家が、街道に対して横向に建ち並んでいる姿に気づくことができた。さらに、道端の小さな花が早くも咲く姿が目に入ってきた。

2ヶ月半前にも歩いた道のりは、吹く風こそは春の暖かさを感じたが、見渡す山々や会津盆地の田畑にも全く雪がなく、2ヶ月半前に戻ってしまった気分だった。
そして、今回も昼食はソースかつ丼の名店「むらい」さんへ。暖簾をくぐるとお店の女将さんや家族の方々が「お帰りない」と笑顔で出迎えてくれた。
こちらも笑顔で「ただいまーお久しぶりです。」と返した。
嬉しかった。

もちろん、今回もロース肉のソースかつ丼を注文した。
変わらぬ店の雰囲気にこうして帰ってこれて良かったと嬉しくなっていた。かつ丼が出来上がるまで、女将さんとおしゃべりをした。毎朝放送を見てくれているみたいで、感想や質問を聞いたり、答えたりした。
そして、15分ほどで、見た目もボリュームも香りもいい、ソースかつ丼が運ばれてきた。大きなロースかつを一口。肉汁が溢れて嬉しい瞬間だ。
無言でゆっくり、ゆっくり味わいながらいただいた。

帰ってくるのは予定よりも1ヶ月ほど遅くなったが、最後まで満足の味に、この味をもう一度を堪能してから北上できることがうれしかった。
「ありがとうございました。また、来ます。」と今回も笑顔でお店を出て、年末年始を過ごした市内へと雨の中歩いた。

市内の様子は懐かしかったが、明らかに海外からの旅行者の姿は全くなく、前回は中国からの観光客で混雑していたお土産屋さんはガランとしていた。新型コロナウイルスの影響のようだ。冷たい雨が、街の活気の無さをさらに際立てていた。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです