日記

那須連山縦走へ
2020.03.07

3日間、中腹の那須湯本温泉にて天候回復を待ち続けた。
そして、ようやく那須岳特有の風も静まり、荷をまとめて那須主脈縦走に向けて出発することができた。
上空には雲一つなく、数日間舞っていた雪もない。那須湯本温泉に到着してから、初めての穏やかな朝だ。

すでに、男鹿岳(おがたけ)を登ってから1週間が過ぎていた。再開後、3週間が経過し、今日で3座目。1週間に1座のペースだ。
すでに再々修正したスケジュールから、1週間も遅れてしまっている。厳冬期は終わったものの、山はまだまだ雪が多く厳しい登山になることは変わらない。自然を相手にした旅であるためにこの状況には慣れてきてはいるが、不安が全く無いわけではない。
あっという間に1ヶ月の遅れが出てしまうことを、すでに覚悟していた。

先日登った茶臼岳からの下山ルートを、暖かな日差しを背に登った。冬季の登山口となる大丸には、週末のため登山者の車がびっしりと停まっている。
2日前に降り積もった雪の上には、すでに登り始めた人たちのトレースがある。楽をさせていただきながら、峠の茶屋~峰の茶屋へと続けて登った。見上げる朝日岳へのルート上や峰の茶屋には多数の登山者の姿があり、それぞれが目的の山へとゆっくり歩を進めているようだ。
登山者のバックパックはどなたも日帰りサイズ、足元の多くはチェーンアイゼンだ。縦走をするような方は見かけなかった。

那須岳三峰の朝日岳へ向かう途中で振り返ると、4日前に登った茶臼岳が何度も目に入った。
縦走初日の最大の難所は、朝日岳への登り。那須岳の中でも一番の岩尾根が山頂直下まで続き、切り立つ岩肌と秀麗な姿に登山ファンが多いと聞く。
風が強く吹き付けるため、積雪はほとんどないが、所々に雪が固くなっているため、足元のアイゼンは欠かせない。露出する岩にアイゼンを引っ掛けて転倒しないように、慎重に登った。

朝日岳山頂への分岐点に着くと、その先は優しい緩やかな曲線の主脈縦走路が続いていた。朝日岳山頂へはほんのちょっとの寄り道となるが、6年前は立ち寄らなかったので、、今回が初登頂だ。東側が切れ落ち、深い谷の奥には、本峰の茶臼岳が見える。あまり長居はせずに、分岐点へと戻り、最高峰の三本槍岳へと雪原を進む。見渡す雪原には、鋭い風紋や同じ方向に傾いた灌木たちが、北西からの冷たく強い風が冬の間に吹き続けていることを、物語っていた。

最高峰の三本槍岳山頂には、すでにたくさんの登山者がいて 、皆さん思い思いの景色を楽しんでいる様子だった。山頂にてゆっくりする予定だったが、山頂は風が強かったため、写真だけを撮って、先へと進んだ。前方には、これまたかっこいい姿の旭岳が度々目を奪った。
旭岳の左奥には変わらぬ白さが際だつ飯豊連峰が見え、西へと目を移せば、国境稜線の懐かしい山々も、遠望できた。

縦走するのは、昨年11月の朝日連峰以来となり、縦走の細かいアップダウンに息が上がり、体力も予想よりも消耗した。予定通り、出発から7時間で、坊主沼の避難小屋に到着した。旭岳直下のため風が遮られて、とても心地が良い。

避難小屋は小さいが平成20年に建て替えられたため、かなり綺麗で、可愛らしい形をしている。
二岐温泉への主脈縦走路で唯一の避難小屋のため、存在がとてもありがたい。
玄関や、窓の周りを雪かきして、小屋の中にも日の光を入れた。小屋の中にはさらにありがたく、毛布と布団が常備されていた。これには、冷え込む夜に快適な睡眠を得ることができた。
いつもより少しだけリッチな夕食でしっかり補給して、あとは寝るだけ。翌日の天気を気にしながら、深い眠りについた。

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