日記

1ヶ月ぶりの雪山はバリエーション
2020.02.24

夜明け前に起床、251座目の荒海山(あらかいざん)登山への準備をバタバタと始める。
6時すぎに麓の宿を出発。昨日の降雪により、2日前の下見とは一変したためか、1ヶ月ぶりの雪山登山のためか、我ながら表情が硬い。まぁ、どちらかというと後者だろう。
そして、こちらも久しぶりのずっしり重いバックパック。身体に馴染むよう、各所の調整ベルトを歩きながら締め直した。

昨日降雪があったものの、想定された積雪量ではないため、一泊二日の計画を日帰りに変更した。出発から下山まで所要時間は10時間と予想を立てた。しかし確信はなかった、なぜなら、久しぶりの雪山登山でもあるが、それよりも初めての山で、登山道のないルートを地形図を頼りに登ることになるからだ。積雪量が少ないとはいえ、標高が上がれば、増えてくることは間違えない。しっかりと積雪量があれば、気がかりな藪や灌木は雪に隠れてしまうが、今年は少ないため行く手を遮られてしまう可能性が高い。その区間が長ければ、登頂に時間がかかることは間違えない。

下見した尾根の取り付き点からは全てがバリエーション登山となるため、積雪量、植生、細かな地形など不透明なことが多く、緊張と不安は拭えなかった。
取り付き点までは、下見の時よりも早く到着。見上げる荒海山は雲に隠れ、チラチラと小雪が舞ってくる。予報通りに回復するかは微妙な雲行きだったが、細く急な尾根を登った。主尾根までは、標高差500メートル。40分ほどで、半分まで登ったが、そこからは、雪に埋まりきらないシャクナゲが広がり、後半は倍の時間がかかってしまった。

主尾根から今度は、主稜線へとさらに登った。荒海山を包んでいた雲は無くなり、空はあっという間に晴れてくれた。ここからが山頂までの最難所となる。尾根を1560メートルのピークまで登る予定だったが、近づくとさらに険しい状況で、かなり時間がかかるとわかった。
そこで、他に抜け道はないかと山に目を向けた。ピークの東側のコルに続くルンゼが目に入り、かなり急だが、尾根を登るよりも、早く確実だと判断した。気づくと膝が震えていた。急斜面の直登に緊張感が高まったからだろう。スノーシューからアイゼンに装着し直して、ピッケルを手にして慎重にルンゼ下まで移動した。

ルンゼ内の雪の状況は比較的いい感じだ。集中して、素早く主稜線まで登りつめることができた。予定よりも1時間以上遅く、主稜線へと合流することとなった。主稜線上をあと600メートル歩けば山頂だが、地形図よりも楽には進めなさそうだ。さらに1時間ほどでようやく荒海山山頂に到着した。

1ヶ月ぶりの雪山、初めての山で、季節は冬、登山道はなく、情報もほとんどなく、再開後の最初山がバリエーション登山となることで、プレッシャーは高かった。そのため、登頂の瞬間は感動と達成感がこみ上げた。
山頂からは見事な景色が広がり、1ヶ月ぶりに旅へと再び帰ってきたことを実感した。懐かしい山々が、1ヶ月前よりも白くなり、歓迎してくれているように見えた。その山々を眺めながらゆっくりとコーヒーを飲みたいところだったが、そんな時間はないようだ。
予定よりも登頂が1時間半ほど遅れ、さらに下山もリスクが高いため、30分ほどで下山を開始した。

下山は、より雪が深い谷を一気に駆け下りた。登りに4時間かかったのに、下りはたったの1時間。7時間半ぶりに、砂防ダムへと帰ってきてようやくホッと肩の荷がおりた。
振り返ると夕日を浴びる荒海山山頂が見え、朝よりも穏やかにみることができた。
さぁ良い流れが出来たはずだ。残り50座も良い緊張感で登ろう。

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