日記

厳冬期の縦走の難しさ
2020.01.10

吾妻連峰縦走は今回も夢となった。昨日の下見登山と3年前の北海道での雪上トレーニングの経験から、厳冬期の縦走は、雪の状態よりも、天候の安定が数日続くかが最も求められると改めて強く実感していた。
吾妻連峰は幅の広い緩やかな地形となるため、ホワイトアウトしてしまうと、雪面の起伏は分からなくなり、空間認識が難しくなる。GPSで現在地を見失うことはないが、進む方角が分かっていても動けなくなったり、移動速度が遅くなる。厳冬期は1年で一番、山は厳しく、登山者は少ない。山によっては、夏場登れても、この時期は誰も登れない山もあるだろう。

最初の予定は1泊2日の計画でいたが、晴れ予報でも日照時間の少なさを考慮すると、2泊3日は必要と判断した。しかし、この時期に3日間も晴れることは難しく、現に天気予報に晴れが並ぶことがない。ここでもまた「登りたい」と「登れる」は全く別物だと思わずにいられなかった。結果、吾妻連峰の縦走の可能性を消した。
リスクを省みずに、自分が縦走したい理由を考えれば、可能性が完全に消えたわけではない。それを優先させてしまうことは、決してしてはいけないと決めている。
これこそが、今自分が直面している厳冬期。この時期は前向きな「仕方がない」が心構えに必要なのだろう。

宿の女将さんに、「天気が回復すれば日帰り、回復しなければ山小屋で1泊して明日下山します。西大巓(にしだいてん)の山頂から最終的にどちらにするか、電話連絡しますのでよろしくお願いします。それでは行ってきます。」と伝え、7時に過ぎに出発した。
雪が少ないとはいえ、厳冬期の2000メートルを超える山を登るのは初めての経験。縦走の可能性は消えたが、山小屋で1泊できる装備をしっかり背負い、昨日のトレースを辿った。

やはり、昨日よりはかなりスムーズだ。西大巓までは3時間ちょっとで到着した。昨晩の冷え込みで、トレースはしっかり固まったため、雪の状態はいい。しかし、天気は昨日と全く同じ、視界不良の中を西吾妻小屋へと向かうことになる。
雲と霧が晴れる気配は全くないと判断し、11時には小屋で1泊することを決めた。携帯電話で宿へ連絡してから、方角をしっかりと確かめて、西大巓山頂を離れた。

樹氷の卵となったオオシラビソの森の中をジグザグ、ウロウロしながら、ゆっくりだが、1時間ほどで、赤い屋根の西吾妻小屋へと無事に到着した。視界不良と小屋に張り付く雪の影響で、小屋の存在も近くまで来なければ分からないほどだ。
小屋の入り口は雪が少ないため、1階から入ることができた。

室温は-6度、小屋の中で昼食を取りながら、午後に回復するかどうかを待った。しかし、予報以上に雲は低く、霧も濃い。暗くなる前に、小屋の2階の狭いスペースに小さな自立式のテントを設置し、防寒着を着込んで、せっせと雪から水を作った。
そのまま夕方まで結局晴れることはなく、明日に備え、早めの就寝となった。
山小屋で寝るのは、杁差岳(えぶりさしだけ)避難小屋以来だ。
厳冬期の山小屋泊も初めての経験。明日はどんな1日となるだろう。

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