日記

佐渡海峡往路
2019.11.02

7ヶ月ぶりとなる日本海を目の前に、遠く霞む佐渡島が見える。
佐渡島へは、シーカヤックを漕いで渡る。昨年5月末に瀬戸内海を横断したとき以来だ。そして、右手の骨折から完治後、初めてでもある。

海峡横断を前に募る不安材料は他にもあり、佐渡海峡横断は初めてな上に、片道40キロを超える航海を往復し、再び本土へと帰ってくることも初めての経験となる。緊張感は無意識に高まっていく。まさに、アドベンチャーレースさながらのチャレンジになる。
この時期の日本海の怖さや難しさを経験したことがあるだけに、何よりも穏やかな海上となってくれることがこの成功の鍵となる。

昨日は時化模様となり、佐渡島は全く見えなかった。そして、今朝は予報通りに風は落ち着き、前日のうねりはまだ残っていたが、晴天、波は1メートルほど、風は秒速3メートルほどで予報通りの好条件となった。緊張感は高いまま、チームメンバーのサポートにより、みなかみ町から運んできてもらったシーカヤックを浜辺に下ろし、落ち着いて抜かりのないように、準備を進めた。

午前7時に海上保安本部へ出発の連絡をして漕ぎ出した。久しぶりのシーカヤック、佐渡島までの所要時間は7~8時間と想定した。出発から30分は気持ちが落ち着かず、体が強張っていたが、慣れてくると不思議といつも通りに漕ぎ進んだ。体が温まると共にペースアップ、イヤホンのスイッチを入れて、音楽に合わせて、リズミカルに漕ぎ続け、ハイペースをキープ。なんと2時間半で半分まで来てしまった。トレーニングを積んでいれば勢いそのままに、5時間で渡れただろうが、そう簡単にはいかないだろうと自分自身を警戒した。すると予想通り3時間を過ぎてから一度ペースダウン、落ち着いて、エネルギーをしっかりと補給し、一度蓄積した疲労が回復するのをゆっくり漕ぎながら待った。30分ほどの復活、さらに2時間順調に進むことができた。しかし、2度目の筋肉疲労がピークとなり、ペースがガクンと落ちた。
そのため、向かい波と向かい風に逆らうパワーがなくなり、少しだけ東へ流されてしまった。

最後はヘロヘロになったが、赤泊(あかどまり)港がはっきり見え、最後の力を振り絞った。静かな雰囲気漂う港へ入ると、安堵と笑顔がこぼれた。なんと!!自分でも驚きの6時間30分で到着することができた。
無事の到着は嬉しかったが復路のことを考えると、緊張感は緩められない。
地元の方々から拍手で迎えられ、佐渡島へと初上陸した。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです