日記

台風回避のためハードワーク
2019.10.21

台風発生当初は日本列島から離れているため、鳥甲山(とりかぶとやま)を登った後に、苗場山(なえばさん)山頂にある山小屋での宿泊を計画していた。しかし、台風の隣にあった小さな低気圧へと台風からの湿った空気が送られ、予想外に発達!台風本体ではなく、低気圧によって翌日午後から強い雨となる予報がでた。

1日のコースタイムを考えると今日中に苗場山から湯沢側へと下山するのは、今のコンディションでは難しいと判断。翌日は冷たい風雨の中の下山を覚悟して、鳥甲山へ向けて切明温泉を出発した。例年だと、紅葉の名勝秋山郷はたくさんの観光客で賑わっているはずだが、今年は先日の台風の影響により、客足は少ないという。
とはいえ、鳥甲山の紅葉は台風の影響をまともに受けずに済んだようで、高曇りの空ではあったが、切り立つ稜線は見とれてしまうほどの紅葉に包まれている。鳥甲山を初めて登ったのも秋だったことを思い出していた。そのとき以来何度か、切明温泉に入りに来るのとセットで、秋に登っていた。

眼下の秋山郷から見上げると、紅葉の屏風のように見える鳥甲山だが、登ると美しい屏風とは裏腹に、切り立つ稜線上のわずかな幅をなぞるように登っていく。山頂以外はほとんど気を抜けない登山が続く。3時間ほどで登頂。半年前に登った岩菅山(いわすげやま)や志賀高原がすぐそこに見え、大分季節が進んだことを感じた。

下山前にこれから向かう苗場山を見ると、予報以上に雲が多い。今日の予報もすでに変わっているかもしれないと思い、もう一度天気予報を確認した。すると、今日の晴れのち曇り予報が午後から曇りのち雨となっていた。さらに、明日の午後強くなるはずだった雨が、今晩から強くなり、明日の午前中まで続くとなっていた。
こりゃ~まずい!
今日中に苗場山から下山するしかない。
すぐに山頂小屋に連絡し、事情を説明して、キャンセルをした。さらに、湯沢三ツ俣の宿泊先を探して、運よく一軒目で予約をすることできた。
あとは、この急な予定変更により、最後まで歩ききれる体力と集中力にかかっていた。

ここまで読んで、「今日は鳥甲山だけにして、天候回復してから、苗場山に登ったらいいじゃないか」と思うかもしれない。しかし、実は先にひかえている荒沢岳の登山道の鎖や梯子が26日の朝から取り外されてしまうため、25日までには、荒沢岳に登り、下山しなくてはならなかった。先日の台風19号によって、1週間近くの停滞があったために、1日の猶予も無くなっていたからだ。

改めてコースタイムを計算すると、切明温泉から鳥甲山~赤沢~苗場山~三ツ俣までは21時間ほどだった。2000メートルを超える山を2座、標高差は2座とも1300メートル以上にもなる。
それから、祓川(はらいがわ)登山口へ下山して、林道を10キロ走ってなんとか暗くなる前に宿につけるかどうかという感じだ。今のコンディションと急な予定変更に、暗くなるのは確実と覚悟して、紅葉に時折目を奪われながら、鳥甲山を猛スピードで下山した。

屋敷登山口から小赤沢へも走り、苗場山へと再び登り始める前に、集落のお団子屋さんで、ちょっとだけ休憩してから、走り登った。
栄村側から登るのは初めてだったが、標高が上がるにつれて、登山道は壁のようになっていった。それでも、自分自身を鼓舞して、4年前の旅を思い出すようなペースで駆け続けた。
苗場山の山頂には全国的にも珍しく貴重な高層湿原があり、遠くから見るとテーブルマウンテンのようだ。この山も新潟県側より何度も登った山だが、いつ来ても霧に包まれたり、雨だったりする。なかなか、広大な湿原を見渡せていない。
今回もそうなりそうな予感だったが、山頂小屋につく直前で、霧が晴れて少しだけ見渡すことができた。

山小屋の方に突然のキャンセルのお詫びをしてから、山頂を経由して、慣れ親しんだ祓川コースへと下山した。時刻は午後3時20分。記憶では、トレーニングでいつも1時間くらいで下山していたから、走り続ければそれくらいで行けるだろうと思っていたが、急がず焦らずを口ずさみながら、怪我をしないように、集中力を高めて走った。

ここまでかなりの体力を消耗していたが、気持ち的には、想像以上に頑張れたことに、少しだけ自信が戻っていた。
午後4時40分、無事に祓川登山口へと下山。あとは歩いて~と行きたかったが、すでに薄暗くなり始め、宿に伝えていた到着時間に間に合わせるためにも、走り続けた。
さすがに、林道は気持ちの緩みもあったため、疲労がどっと出て、筋肉の張りも一気に高まった。
最後はヘッドランプを手に、ヘロヘロになりながらもギリギリ午後6時に民宿へ到着した。
宿の方に今日の行程を伝えたところ、驚いていたことは言うまでもないだろう。
数日後。この日の頑張りが、次なる頑張りへの布石になるとは思ってもいなかった。

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