日記

秘湯へ
2019.10.18

苗場から苗場山や佐武流山(さぶりゅうやま)へとのぼる途中に、深い谷間にポツンと一軒の山小屋「赤湯山口館」がある。その山小屋には山からの恵み「温泉」が川からわき出ており、古くは江戸時代から、山越えて湯治客が来ていたとも聞く。

赤湯の存在を知ったのは今から10年以上前、カッパグラブの社長や同僚と一緒に来たのが最初のこと。当時は日帰りで、山を越えて赤湯で汗を流し、再び山を越えて帰った。そのたびに、電気も電波もない山口館で宿泊して、世間から解放された空間で、のんびんと温泉に入るのもいいなぁと思っていた。それが、5年前の百名山の旅のときに、念願叶い宿泊することができた。
その時、お世話になったのが、山口館4代目の息子さんで、柔らかな笑顔と優しさ溢れる人柄が印象的だった。
たまたま、一緒に宿泊していたお客さんの中に、毎年読みたい本をもって、山口館に2泊するという男性と話すことができ、他に時間を奪われない空間と自然の音に包まれて、本を読むのがいいと言っていた。

翌年の二百名山の時も、佐武流山へと登るために宿泊させていただいた。その時は3代目のお父さんと4代目の息子さんが迎えてくれた。お父さんが嬉しそうに「息子が帰ってきてくれて、代替わりができてひと安心だ」と言っていた言葉が印象に残っていた。それから、今回は4年ぶり3度目となる。

しかし、山口館で息子さんやお父さんと再会し、特別な時間を過ごせることを楽しみにしていた昨年、赤湯までまだまだ遠い西日本の山を登っているときに、訃報を知ることとなった。4代目が亡くなったという。詳しくは分からなかったが、突然のことだったらしい。
どんな風に再会したらいいかと悩んでいたが、平標山の家の女将さんに「元気な姿を見せて上げることだけで十分だよ。」と優しく言っていただけたことに救われた。笑顔で元気よく再会しよう!と心を整理して、台風の爪痕残る林道を歩き、一山越えて、懐かしさを感じる赤湯山口館へと昼過ぎに到着した。

目の前の川はすでに落ち着いていたが、川岸の様子から、かなりの増水があったことがわかった。また、3つある露天風呂も台風通過後は全て土砂に埋まってしまったらしく、ご主人や妹さん、協力者のおかげで、2日前に全て土砂をかき出すことができたという。一山越えて赤湯を訪れる人たちに温泉に入ってもらいたいという強い想いを感じてならなかった。

一番大きな玉子湯は、源泉が増水の影響を受けたことで、ためられなくなったそうだが、2つの温泉は4年前と変わらぬ状態で、疲れたからだを十分回復させることができた。
夕食もまた山口館の魅力のひとつ、薪と昔ながらの釜で炊いたご飯がとっても美味しく、なんともいえない風味と味だ。初めて泊まった時は大盛5杯もいただいたほどだ。今回も変わらぬ味で、4杯頂いた。久しぶりにご飯でお腹が重くなった。

明日は天気は今日よりも荒れる予報。ゆっくりと温泉で癒されながら、この特別な時間を味わいたい。

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 この日記に書かれている場所はこの辺りです

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