日記

誰もが魅了される富士山
2019.08.22

夜明け前、トイレに起きると空には星が輝いていた。予報よりも天気がいい方に傾いてくれそうな予感がした。
富士山五合目から早朝に出発するのは初めての経験。5時半に出発、六合目への途中にある六角堂では朝から日蓮宗の僧の方々がお経を唱えていた。手を合わせ、六合目でスバルライン五合目からの登山道と合流すると、あまりの静けさに驚いた。なぜなら、本来なら早朝でもたくさんの登山者がぞろぞろと列をなして、山頂へと登っていく姿があるはずなのだが、全くないからだ。インフォメーションで聞いたが、今年は天候が不安定で例年よりも山頂へと登る登山者は少ないらしい。あとは、お盆を過ぎたため、登山者のピークが落ち着いていることもあるようだ。
昨日に続いて、2日目もすっからかんの登山道を自分のペースで、他の登山者を気にすることなく登る。

標高が2700メートルを越えると、七合目から山頂まで点々と山小屋が続く。その数14にもなる。
標高が3000メートルを越えると八合目の山小屋となる。そこまでですでに4~5つの山小屋を通過した。
富士山あるあるだが、八合目が長い。八合一勺、二勺、三勺…そして本八合目と何軒もの山小屋が続く。しかし、本八合目を過ぎれば、九合目、山頂まではあと少し。

本八合目までは五合目から2時間半ほどで登って来ていて、30分ほどで富士吉田口山頂に登頂できそうだったが、ここに来て、急にお腹が冷えてしまい、トイレに駆け込むことになってしまった。一気に山頂までとはいかず、結局30分以上もトイレで格闘した。落ち着いたところで、ようやく再出発。
すると、五合目出発時はあった山頂の笠雲がいつのまにか晴れていた。
天気予報からは山頂が晴れることはないかもしれないと思っていたが、2日目も昨日に続いて、いい方に傾いているようだ。
但し、自分が登頂するまでに晴れていてくれるとは限らない。登頂後は最高峰の剣ヶ峰へと向かい、初めてのお鉢巡りもする予定だったため、慌てて登った。

今日はもしも、途中で天気が回復することがなかった場合は、天気の回復を五合目で待つために、八合目から下山も考えていた。
本八合目までは判断が難しい空模様だったが、期待せずにはいられない感じとなった。

9時過ぎ、5年ぶりに富士吉田口山頂の奥宮へと到着した。予定よりも1時間ほど遅くなってしまったが、ありがたいことにまだ、山頂の雲は晴れてくれていた。お鉢を時計回りで歩き、御殿場口と富士宮口の山頂へと向かった。
お鉢の中は相変わらずの荒々しく、同じ地上とは思えない世界が広がった。
高層と低層には雲があったが、ちょうど中層の雲は晴れたまま。麓の景色も遠くの景色も見えなかったが、気持ちがいい時間だった。

お鉢の登山道脇にはたくさんの登山者が腰を下ろしたり、寝っ転がっている。きっと、がんばって登頂した安堵感と心地のいい日差しを受けて、眠気が出ているのだろう。
最高峰の剣ヶ峰もはっきりと見える。さぁ、3776メートルからのお鉢を眺めようと富士宮口の奥宮にて手を合わせ終えると、空は一変していた。真っ白な雲に包まれてしまった。だが、気持ちは焦ってはいなかった。まだ時間にもゆとりがあったため、雲に包まれてしまった剣ヶ峰に登り、それから2時間、日本一高い場所で雲が再び晴れるのをじっと待った。

雲に包まれていたが、山頂の観測所により、風をしのぐことができて、寒さをそれほど感じることはなかった。さすが4つのルートよりたくさんの登山者目指す最高峰、入れ替わり立ち替わり、登山者が途切れることがなかった。

2時間のうち何度か晴れる瞬間もあり、下山の時間も考えて、午後3時前にお鉢巡り後半へと進み、再び富士吉田口の下山口へと合流した。山頂の郵便局から手紙を出したかったが、4日前に閉まってしまったため、奥宮にて、葉書に山頂の赤砂を練込んだ朱肉で登頂の判子をいただき、延々と続くようなつづら折れの下山道を駆け下りた。

相変わらず、下山はあっという間。山頂から六合目まで1時間で下山して、これから山頂へと向かっていくたくさんの登山者と入れ替わるように、スバルライン五合目に到着。
1年でわずかに2ヶ月間しか開山しない富士山は、時間にも天候にも関係なく24時間誰かが必ず登っている山であることを再確認した。山頂から出す予定だった親やお世話になっている方々への葉書を五合目の郵便局にて出した。
佐藤小屋から見上げれば、晴れてくれていた山頂は朝よりも濃い雲に包まれてしまった。

2日目の登山を振り返り、あのとき〇〇していたら…と少しだけ、後悔する自分がいたが、そう思ってしまうのは、富士山が日本一である証拠なんだろう。
今回も国籍や年齢、性別に関係なく、本当に多くの人を魅了する唯一の存在であることを強く感じる時間となっていた。
この旅が無事に終わった時、最初に登る山は富士山かもしれない。

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