日記

富士山へ
2019.08.21

曇天の本栖湖(もとすこ)より、精進口ルートの登山口へと出発。登山口手前で富士山が少しだけ見えた。
これから2日かけて198座目富士山へと登る。富士山頂へ、五合目からの登山口は主に4つ、富士吉田口、富士宮口、御殿場口、須走口とある。これより手前、五合目までのルートも富士山にはあり、今回は精進湖よりスバルライン五合目を経由して、富士吉田口に合流する精進口登山道を登ることにした。いわゆる0合目から富士山を登る登山道だ。

何度も登っている富士山だが、精進口登山道は初めて使う。0合目からの富士登山で一番登られているのが、歴史深い参道となる吉田口登山道であるが、精進口登山道は山頂まで30キロもあり、登っている人はかなり少ないと予想していた。

富士山の西側に広がる青木ヶ原の広大な樹海を抜けていく。登山道脇にある、苔がびっしり張り付いた、複雑な形をした溶岩が目に留まる。一合目までが長く、標高が上がるとともに、間隔は短くなっていく。
途中、富士の風穴に立ち寄った。地中から大きな口が開いているような感じで、解説の看板には、風穴内の平均気温が0度とあった。風穴へほんの1メートル下がるだけで、気温が全く違うことが分かる。

風穴を過ぎた後も、一向に他の登山者と会うことはなく、結局五合目の奥庭に到着。スバルラインのバス停から下りてきた観光客と、山小屋の休憩所で会ったのが初めてとなった。初めて登った静かな精進口登山道、長く誰とも会わないが、青木ヶ原の神秘的な世界をじっくりと見ながら登ることができ、五合目の奥庭から森林限界を抜けた富士山の凛々しい姿を目の前にして、改めて自分が富士山に登っていることを確認できた。

夏休み中の富士山五合目とは思えないほど、静かな奥庭の山小屋で、明日の富士山登頂に精をつけるため、奮発して鰻重定食を昼御飯としていだだいた。
食後には山小屋の目の前で採れるコケモモのジュースでビタミンをしっかりと補充し、さらに標高を上げて、御中道(おちゅうどう)へと登った。
御中道は昔の修行の道で、富士山の中腹をぐるりと回ることができたそうだ。
その距離はなんと約25キロ。しかし、現在は御庭からスバルライン五合目までのわずかに2,5キロしか歩くことができない。それでも、貴重な道が今も残り、歩くことができる幸せと興奮を感じていた。

スバルライン五合目に出ると、そこは別世界、日本人を探す方が難しいほどに、海外からの旅行客や登山者で溢れていた。インフォメーションに立ち寄り、入山料(任意による協力金)を支払い、宿泊先の富士吉田口五合目の佐藤小屋へと向かった。
富士山に初めて登ったのは大学3年生の時、それから毎年のように登り、今回で山頂に立つのは10回目(多分)と思われる。しかし、一度も途中にある山小屋に泊まったことはない。
今回は富士山で唯一の通年小屋である佐藤小屋を選んだ。アットホームな雰囲気の佐藤小屋で、明日に備えて早めに就寝した。
不安定な天気が続いてきたが、幸先のよい1日目となった。

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