日記

ハエが媒介となる苔
2019.05.31

静かな空気が漂う双子池ヒュッテに見送られながら出発。今日は北八ヶ岳の入り組んだ主稜線を黒百合ヒュッテまで歩く。
大岳から始まり、中山まで8つの頂を経由しながら、アップダウンを繰り返す。主な頂は北横岳だ。昨日の快晴から一転、朝からどんよりとした空。八ヶ岳縦走中に1日だけ天気が傾くのが今日だ。

雨池峠までの前半は大小の岩が積み重なり、気を抜けば岩の隙間へと落ちてしまう。峠から後半は、コメツガやシラビソの原生林となり、地面を苔の絨毯が覆っていた。

麦草ヒュッテでお昼休憩をしたところ、ご主人が北八ヶ岳に生息する苔の調査をされていて、とても珍しい苔を見せてくれた。
野性動物の糞に生える苔だ。なんとこの苔はハエを媒介にしているらしく、苔自らがハエの好きな臭いを出して、おびき寄せるという。苔を嗅いでみたが臭くはなく、まだ胞子を出す季節ではないからだそうだ。
学術的にも大変貴重な苔に出会うことができ、少しアップダウンに疲れていた気持ちがフレッシュになった。

丸山、中山と越えた頃には、とうとう雨が降りだして、逃げ込むように黒百合ヒュッテへと走った。
こうして、八ヶ岳縦走2日目も無事に予定通り、歩き終えることができた。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです