日記

名残惜しい
2019.03.29

笈ヶ岳(おいずるがだけ)からの下山先が白川村へと変更になったため、昨年9月に登った人形山(にんぎょうやま)へと登るチャンスを得た。
実は人形山へ登るときに、丁度台風が通過、天候回復のために4日間停滞をし、台風一過を期待して登ったが、山は回復が遅れ、雲の中の山頂となった。この辺りの山域では、心残りとなった山となっていたのだ。
それに、猿ヶ馬場山(さるがばばやま)や笈ヶ岳を登ったときにも、白くのっぺりとした姿が見えて、この機会を逃すわけにはいかないという気持ちが働いていた。

明日から数日は雨となるため、晴れとなるこの日に、白川村側から牛首峠へと続く林道を歩き、峠から県境となる尾根を登って、三ヶ辻山(みつがつじやま)へと続く稜線をたどり、人形山に登頂するルートを地図から探りだして選んだ。雪がある時ならではのコースだ。
一番のネックは、三ヶ辻山へ登る斜面だ。このルートでは一番の急斜面で、三ヶ辻山からの雪庇によっては、登るのが困難になる可能性が予想された。
5日間お世話になったゲストハウス「AntHut(アントハット)」の方々に笑顔で見送っていただき出発した。

撮影班の同行もないので、久しぶりに一人きりの雪山登山となる。
キツネやカモシカ、野鳥やリスに出会いながら、林道を2時間歩き、峠手前から尾根へと入った。
朝はあった日差しも稜線に出る頃にはなくなったが、風がなかったため寒さを感じることはなかった。順調に進み、三ヶ辻山直下に立った。
見上げると地形図から読み取れる斜度よりも、雪のためさらに急だった。心配した雪庇はそれほど大きくはなく、乗り越えられそうだと判断し、ヘルメットとアイゼン、ピッケルを装備して、滑落に注意しながら、慎重かつスピーディーに登った。心拍数が上昇することを感じながらも、無事に登りきった。
三ヶ辻山から先は比較的歩きやすい稜線を進み、半年ぶりの人形山山頂に立った。

予報よりも雲の多い空ではあったが、前回よりは展望もあり、大満足だった。
半分埋まった宮屋敷跡の鳥居を通過し、富山県側へと下山した。
もう一度、石川県を歩く機会は無くなってしまったが、代わりに、残してきてしまった想いを取りに行く事ができた。

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