日記

初の冬の赤城山
2019.02.03

赤城山(あかぎさん)といえば、関東平野へとたおやかな裾野をどこまでも広げ、榛名山(はるなさん)と並んで、そこから先は山深くなることを目にする人々に教えてくれているような山だ。大学卒業後にアドベンチャーレーサーになるべく、12年前に群馬県へ住み始めた。それから、赤城山を知り、何度も季節を通じて登った。住んでいたみなかみ町から見え、親しみのある山だ。しかし、唯一冬だけは登ったことがなかった。今回の旅では一番冬に登りたかった山かもしれない。

今年は例年よりも雪が少ないと聞いていたとおり、登山口の花見ヶ原の積雪は30センチ程だった。もう少し積雪があれば、雪もしっかりとしまり、スノーシューで歩くと気持ちいいスノーハイキングになったのだが、少ないために、スノーシューでもズボズボと埋まってしまう。
ただでさえ装備を含めた総体重が100キロを超えているため、足をとられるたびに、体力は消耗していく。夏道のコースタイムは山頂まで2時間だが、それ以上かかるペースだ。
また、週末のため先行する他の登山者の踏み跡があり、それを助けに登っていくが、人が作ったルートを使って登ることを「トレース泥棒」と言うことがあるため、出来るだけ使わずに登らなくてはと、スタートから葛藤が続いた。しかし、あまりの雪の少なさに、踏み跡以外の場所は、直ぐに足をとられる。

頑固な自分も自然には敵わず、素直に先行する他の登山者の踏み跡を借りて登った。
標高が1600メートルを超えると、雪もぐっと増えて、しまっている部分が増え、踏み跡から外れて、好きに木々の間を抜けて歩くことができた。雪の上を歩く感覚は、地面の上に立っているときよりも、重力が少ないように感じる。まさに浮いているような感じだ。
雪でかさ上げされた分、目線も高く、他の季節では感じない視界が広がる。

山頂手前で、大沼からの登山道に合流すると、別世界だった。暖かくコンディションのよい週末のため、たくさん登山者の姿があり、登山道は、夏道のようにしっかりとした道が出来ていた。

山頂は事前にインターネットの他の登山者の記録で見たものよりも、雪が少なかった。しかし、さっきまですごい数の人が山頂にいたことを感じるほどの無数の足跡があり、明らかに冬山ならではだと思った。山頂から少し先へ進むとさらに展望が広がり、群馬県境の名峰が勢揃いだった。
冬の山々は本当に美しく、舞妓さんのような純白に姿を変えていた。
やっぱり冬は好きだ。
さらに、眼下には初めてみる全面氷結した大沼が見え、ワカサギ釣りを楽しむ人々のテントがあちこちにあった。

山頂でのんびりしすぎたため、下山は駒ヶ岳経由でかけ下りた。
あとは凍った大沼を歩いて、1日を終えようと思っていたら落とし穴が待っていた。下山口まで、あと15分ほどのところで、冬山には欠かせないネックウォーマーをどこかで落としてきたことに気がついた。
すぐの場所にあればよかったが、思い当たる節があり、駒ヶ岳をもう一度登り、かけ下り、再び黒檜山(くろびさん)まで登り返した途中で、木の枝に引っ掛かるネックウォーマーを見つけた。
踏みかためられた雪道でなければ大変だったが、久しぶりにダッシュをして、いい刺激になった。

結局、16時の氷上入場規制時間になってしまい、大沼を歩くのは翌日となった。そして、季節外れの雨が降りはじめた。

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