日記

試運転
2018.08.04

骨折から2日後には登山をするのは、非常識かもしれないが、旅を続けられない可能性がゼロでない限り、前へと進む決意した。
しかし、初めての骨折で、炎天下の中を歩くだけでも、骨折部位には負担にはなるはず。さらに登山となれば、ギブス固定しているとはいえ、かばいながらとなると今までと同じような登山ができるとは言えない。右手のことばかりを気にしすぎて、楽しむ登山ではなく、こなす登山にならないかが懸念された。

幸いなことに、試運転となる山が登頂2度目の武奈ヶ岳(ぶながだけ)(比良山(ひらさん))であったことに加え、鎖場やガレ場もなく、比較的登りやすい。また、琵琶湖のパックラフト横断は楽しみにしていたが、海峡横断の直前でなくて良かった。琵琶湖は遠回りにはなるが、琵琶湖大橋を使ってわたることができる。

琵琶湖の西側は比良山からの花こう岩によって浄化された水と一緒に流れてくる花こう岩の砂でとてもきれいな湖岸が続く。その中でも最も美しいと言われる近江舞子(おうみまいこ)から緊張の中、武奈ヶ岳へと登った。
いつも以上にゆっくりと一歩一歩を確実に。
その甲斐あって、前回は見ることのできなかった真っ白な花こう岩の特徴的な岩壁や長い年月をかけて変化を続けている湿原、雪深い比良山がもたらす清らかな水、そして一番驚いたのは芦生杉(あしうすぎ)の原生林だ。
屋久杉のような圧倒されるような存在感は無いが、薄暗い山奥にひっそりと立ち並び、数百年もの間、湿った重い雪にも耐え続けた姿が、一本一本に個性があるように見えた。
なんだかその姿が今の自分に重なった気がする。

下山を終えてみれば、スタートの時の不安は無くなり、充実感に満ちていた。
この感じなら、骨折部位の治りは遅くなるかもしれないが、山を楽しみながら旅を続けていけると実感した。

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