日記

山は高さじゃない
2018.04.01

長門市から隣町の萩市までは、国道を歩けば25キロほどだが、青海島(おうみじま)最高峰の高山に登るために、今日の歩行距離は、山口県に入って最長の44キロになった。
高山と言っても、その名のように高い山ではない。標高は319メートルと2日前に登った妙見山や千畳敷よりも低い。しかし、再三意識的に言っているが、山は標高(高さ)ではない。もっといえば山の魅力は高さだけで良し悪しが決まるものではない(根本的には山に良し悪しなど無いと考えている)。どれだけその山の魅力に気づくことができるかが大切であり、どちらかといえば登山者の方が山に試されているのだろう。
「今日登ってきた人は俺の魅力に気づいてくれるかな~」何て思っているかもしれない。

高山は青海島の西の端に位置し、長門市内から見ると小さな火山のようにとんがり、とてもよく目立つ。日の当たり方によっては凛々しい印象も受ける。
登山口は中腹のキャンプ場から始まり、山頂までのコースがいくつかある。地元の高校生が描いた地図が登山口にあり、散策にはとても参考になるだろう。よく整備された登山道を登り、あっという間に山頂に到着した。
山頂には戦時中に監視硝(かんししょう:見張り台)として造られた特徴的な建物が当時の面影を残したまま建っている。看板には高山の歴史が解説されていて、なんと学生たちが自分たちでブロックを運び上げて建てたとあり、大戦中は学生たちが弁当を持参して、交代制で見張りに立ったとある。夜間、海上に敵戦闘機が来ると監視硝から灯台の光のように照らして追ったという。日露戦争のときも高山は見張り台の役目を果たしたそうだ。

そんな壮絶な歴史がある高山からは、当時のことが想像できないほどの美しい眺めが広がっていた。長門市の街並みと深川湾(ふかわわん)が一望でき、その眺め以上に青海島の北側にある、海上アルプスをはじめとする美しい海岸線が見えるのは、青海島最高峰ならではだろう。
贅沢な景色を短時間で登れて山頂から堪能できるのも低い山の魅力だと思った。名残惜しさはあったが、萩へ向けて下山した。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです