日記

60座
2015.09.22

今日も朝から気持ちのよい日差しが南アルプスに差し込んでいた。
宿泊した白樺荘を6時半に出発、再び畑薙ダムへ向かい、8時に茶臼小屋へ続く、大吊り橋を渡った。
7年前、日本海から太平洋までを日本アルプスを縦走しながら走り抜ける「トランスジャパンアルプスレース」(http://www.tjar.jp/)に出場したときに真夜中この橋を渡って、太平洋まで走っていったことを思い出した。
ここを歩くのはそれ以来だが、今度は逆に登っていく。
登りながら、「こんな感じだったかな~」「こんな橋渡ったかな~」と当時のことを思い出したが…疲労困憊と激しい眠気で、ほとんど覚えていなかった。
無事に下山したことがわかる大吊り橋だけが、強烈に記憶に残っていた。

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新鮮な気持ちで登るが、さすがに連日の激しいアップダウンに加え、休みなしで今日まで13日間歩き続けた体には、かなりの疲労が蓄積されていた。
さらに、今日から明日の池口岳までの行動食など、装備が増えたので、ザックの重量が増し、疲れた体に重く伸し掛かった。いつもなら休まずさくさく登れる登山道も、今日だけはザックを下ろして、何度か座り込んで休んでしまった。とにかく茶臼小屋まで行けば!その気持ちだけで、力の入らない脚を動かした。

10時半ごろに茶臼小屋に到着した。昨年は真っ白い残雪に包まれていた小屋も、今年はうっすら紅葉が始まった木々に囲まれていた。
テン場にある色とりどりのテントが、秋の雰囲気をさらに高めていた。

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緊張でガチガチだった去年の南アルプスが懐かしい。あの時は、営業期間外だったため、小屋は誰もいなく静かだった。
今年は、シルバーウィークと言うこともあり、たくさんの登山者でにぎわっていた。
小屋の明るい雰囲気と到着した安堵で笑顔が自然と出た。
茶臼小屋の営業は明日の朝までということで、今日はまだまだ宿泊者が増えると小屋のご主人が話してくれた。一昨日の夜が一番すごかったそうで、テン場がいっぱいになってしまうほどだったらしい。

小屋閉めということで、食料を消費するために、ウェルカムフルーツがサービスされていた。また、飲み物は全て大特価セールとなっていて、ほとんどが半額となっていた。
初めての小屋閉め前日の日に泊まるので、中で休憩していると、茶菓子やおでんまで「食べて消費して~」と昼御飯をお願いしないでも空腹が満たされた。

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11時半に荷物を預けて、60座目の上河内岳に向かった。去年は直下の肩までは登っている。
去年とは違う南アルプスがどんな風に目に飛び込んで来るか、ワクワクしながら主稜線へ駆け上がった。
今までの南アルプスの山々と雰囲気が違うことは、小屋の回りの雰囲気だけでも感じた。

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主稜線に出るとまずは相変わらずのどでかい聖岳が見えた。思わず「いいね~いいね~」と声が出た。
そして、中央アルプスが見える。これから登る上河内岳は雲に隠れていたが、そこへ続く登山道が見えた。去年とは全くの別世界が広がっていた。
去年も素晴らしい景色だったが、初めて初秋の南アルプスを見て、たくさんの色があり鮮やかで、険しくも穏やかで温かさを感じる南アルプス南部の雰囲気に一目惚れしてしまった。
上河内岳を目指しながら、何度も来た道を振り返り、明日向かう光岳方面の景色が気になった。

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分岐から1時間ほどで、上河内岳の山頂に立った。今までしっかりと見たことがなかった上河内岳、奥の聖岳に目がいってしまうが、鋭くとがった形はかっこよく、優しい雰囲気の主稜線からいきなり突き出た感じは、向い合わせの茶臼岳とは対照的だ。
初めて上河内岳には、山頂にいる間に、直下の肩に荷物を置いて、体一つで登ってくる登山者がたくさんいた。

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午後2時に小屋に戻る予定だったので、1時過ぎには下山を開始した。
南アルプス南部の秋の深まりを肌で感じながら、2時に小屋に到着した。

小屋に戻ると、出発した時よりもテントや登山者の数も増えていた。
小屋のスタッフは登山者を迎える準備をしながら、小屋閉めの準備も急ピッチで進んでいた。
小屋閉めの時期はボランティアの人が10人以上手伝いに来てくれるそうで、小屋のスタッフの指示のもと慌ただしくも楽しそうに、残りわずかな今年の小屋の時間を過ごしているのが印象的だった。

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汗を流すために水浴びをして、自分の寝床でゆっくりしていると、茶臼小屋の販売Tシャツとマジックを持って次々と「サインを下さい!!」という登山者がたくさん現れた。
最初に頼まれた人に応えて、その方が「シャツにサインをもらった!」と喜んだら、いつの間にかシャツを買えばサインがもらえるとなったようだ。
この日の宿泊者が50人ほどいたので、たくさん茶臼小屋のシャツが売れて、少しだけお世話になった小屋の力になれたかな~

夕食は、ここは2,400メートルの山小屋か?!と思うほどの豪華な夕食だった。
3回転の夕食の最後で、スタッフの皆さんと一緒になった。
和気あいあいのアットホームな雰囲気で、小屋がたくさんの登山者から愛されていることが分かった。
明日もあるので先に失礼させてもらったが、次回はゆっくりお酒を飲みながらワイワイやりたいな~と思った。
明日で長かった南アルプスが終わる。
寝息の合唱が響くなか寝袋にくるまった。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです