日記

初めて知ることだらけの両神山
2019.02.12

秩父三山の一つ、両神山(りょうかみさん)は日本百名山でもあり、埼玉県を代表する山でもある。5年ぶりの両神山への登山、かつての表参道でもある日向大谷口より登るのは、遡ると10年ぶりくらいだろうか。うろ覚えのまま、小鹿野町(おがのまち)より出発した。

登山口には、カワイイ柴犬が一匹、以前来たときは白い犬だったが、すでに亡くなってしまっていた。
犬を撫でていると、山荘の女将さんが出てきて、「あらテレビの!」と話し掛けてくれた。すると奥からご主人も出てこられて、両神山の山について、解説してくださった。

両神山は大昔からの修験の山、厳格なしきたりがあり、女人禁制の山だったという。山頂部の本社、山頂へ登拝するためには、限られた人しか登ることが許されず、登山口の、両神神社の里宮にて、参拝し、寝食を共にしてから、案内人(先達者と思われる)の先導で昭和20年代までは、そうして、登っていたという。

時代の流れと共に、登り方が変わり始めた頃、女人禁制が残っているにも関わらず、ワンダーフォーゲルの女子大生たちが登ってしまった時は、地元の人々は不吉なことが起こり、女子大生たちは、死んでしまうと噂されたという。
そして、里宮と宿坊を守ってきた、神主さんが山を下りてしまうと、さらに両神山への信仰は薄れ、今ではほとんど登山者は里宮の存在も知らず、素通りしていってしまうそうだ。
実際、過去2回日向大谷口より登ったことがあるが、里宮で参拝してから登ったことはなかった。
また、登山口からは多数の石碑、石仏が並んで、道標としての役割も担っていると教えてくれた。

そして、一番興味深かったのは、秩父三山をはじめとする、秩父山域の神社のほとんどが神の使いとして、社殿の前には、狛犬ではなく狼が座っているということ。
理由は日本武尊(やまとたける)が東征の時に、この地を訪れて、道に迷った時、白狼が現れて、導いたことからだという。また、この狼は阿吽(あうん)で性別があり、阿が雄、吽が雌になっていることにも驚かされた。
今回で4回目の両神山だが、これまで登ったことのない季節である以前に、両神山についてあまりにも知らなすぎたことが恥ずかしかった。

両神山も例外なく、今年は雪が少ないという。したがって、今年の冬は登りやすいそうだ。
登山口からは童子(どうじ)の名前が彫られた石碑が続いた。両神山への登山のほとんどが、谷間を進むため、案内人なく登れるようになった頃は、険しい道のりのために、毎年たくさんの死者が出たという。案内人が必要だった理由もわかる気がする。

清滝小屋手前で、一度谷に下りて、白藤の滝を見に行った。予想通り見事に氷瀑となっていた。
雪がほとんどない両神山ではあったが、冬の両神山を垣間見ることができた。

清滝小屋を抜けると、谷から一気に尾根へとかけ上がる。尾根から両神神社本社までは、岩場と鎖場が続き、かつての修験者もきっと一番緊張しただろうと思い浮かべた。
そこを抜ければ、ここも2匹の狼に迎えられて、神社に到着となる。山頂の剣ヶ峰はさらに、その先となり、緩やかな尾根道を抜けて、登頂。
山頂は他の登山者の姿はなく、これまでで一番の展望だ。風もなく、暖かさも感じることができた。

下山後は、再び山荘に立ち寄り、無事を伝えて、里宮にて手を合わせ、小鹿野町へと走った。4回目の両神山だったが、初めて知ることばかりで、やっぱり今回の旅を始めてよかったと感じる一座となった。

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