日記

北アルプス最後の一座
2018.11.03

4年前、初めて登った乗鞍岳は、登山口を晴れからスタートし、山頂で濃霧、下山で雨となった。乗鞍岳がどんなところなのか全く分からないまま下山したのを覚えている。
麓の天気予報も山の天気予報も昨日と同じように、穏やかな秋晴れとなっていた。期待を胸に乗鞍高原を出発した。
しかし、登山口となるスキー場から、山頂部を見上げると、予報以上に雲が厚く包み込み、流れていく雲はかなりのスピードだ。
10月末にて、運行バスも山小屋も今年の営業を終えたため、登山道は静かなものだ。

標高が上がるにつれて、紅葉から枯れ葉、霜、氷、雪へと変化していった。2500メートル付近で足を止めた。出発から2時間が経過していたが、一向に山頂の雲が晴れないからだ。
回復するのを願って、1時間ほど、雲を見上げながら、コーヒーで温まった。
しかし、1時間待っても山頂は隠れたまま、下山の時間もあったため、登っている最中に回復することを願って再出発した。

肩の小屋からは、雪の量が増えて、チェーンアイゼンを装着、2700メートルからは雲の中に入り、固くなった雪の上にはうっすらと新しい雪が積もっていた。
雪の上には先客が。かわいい雷鳥の足跡だ。
西側からは強烈な風と共に、雲が湧き続けている。どうやら、東海地方南部に近づく低気圧が影響しているのだろう。頂上の剣ヶ峰が近づくと、さらに風は強くなった。
風上に回り込むと、体感温度はぐっと下がった。1分もいるとあっという間に身体は冷えた。逃げ込むように風下のお社裏へ、時折青空がちらついたので、山頂で30分待ったが、結局は寒さに根負けしてしまった。

4年前よりはコンディションがよかったが、心残りになったのは間違えない。
4年前と同じように、平湯へと下山をした。下山途中に、きっと今年最後となる雷鳥と出会うことができた。
無事に本格的な冬が始まる前に北アルプスを登り終えることができて、ありがとうと言える自分がいてよかった。

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