日記

今年もあと2ヶ月
2018.11.01

今日から11月に入った。旅をスタートさせてから丸10ヶ月が経過したことにもなる。これまで登ってきた山の数は105座、正直なところスタート前のスケジュールからは、11月でここにいることは想像していなかっただけに、2年間でゴールすることへの不安はある。その一方で、充実度は高く、いい旅が出来ている実感も強い。

スケジュール表では、11月1日には185座目瑞牆山登頂予定とある。
近畿地方を終えたときにはすでにスケジュールは2ヶ月半も遅れていたため、日本アルプス縦走ルートを変更し、冬に入る前に北アルプスを抜けることを優先させた。
しかし、この遅れは自分の決断からの結果なので、先々のことを考え出してしまう度に、「目の前の一座を大切に」と言い聞かせてきた。
そして、今日は4日ぶりに北アルプスも高気圧に覆われて、3日間待ち続けた「霞沢岳(かすみざわだけ)」へと登る。

ルートはいたってシンプル、上高地から明神を経由、徳本峠(とくごうとうげ)までのぼり、常念山脈突端の霞沢岳まで縦走して、登頂後は来た道を引き返すだけとなる。

3年前は霞沢岳の一番の魅力、山頂からのダイナミックな穂高連峰の眺めを見ることが出来なかったため、今回はそのために登る。
穂高連峰など標高2500メートル以上の山は、3日間降り続いた雪で、見上げる穂高連峰の雰囲気は一変していた。北アルプス北部の立山では50センチ近く積もったとニュースになっていた。本格的な冬が始まったのだ。

昨日は上高地でも降雪があり、例年並みだという。しっかり冷え込み、河童橋には霜が張っていた。
明神から徳本峠へは、峠の山小屋が閉まっているために、他に登山者はいない。明神に下りてくるまでは誰とも会わないだろう。静かな登山になりそうだ。
徳本峠の手前の沢は凍りついていた。ここ数日の冷え込みを物語っていた。
さらに、峠の分岐手前から登山道にはうっすらと雪が積もっている。
霞沢岳までの登山道は、昔は大正池の辺りからも登れたと聞くが、今は徳本峠からのみとなり、下山も同じルートをたどることになる。アップダウンが続き、水平距離も多少あるため、コースタイムは長めだ。
上高地からだと、13時間程となる。

霞沢岳までの縦走は主稜線を挟み東西で別世界だ。
久しぶりの太陽を燦々と浴びる東側は、雪や氷はどんどん溶けていくが、日陰の西側は立派な霧氷や樹氷があちこちに見られ、徐々に高くなる太陽で、カサカサと音をたてながら、少しずつ崩れていく。
澄み切った青空と、霧氷や樹氷のコントラストが美しく、木を揺らして散る霧氷に光が当たりキラキラと輝いた。
その向こうには、威風堂々といった穂高連峰が雪化粧でより勇ましくも見える。足元の積雪は予想よりは少なく、登るのには難はない程度だ。

展望のよいK1、K2を越えて、昼前に霞沢岳へ登頂した。山頂は風も穏やかで、日差しが暖かく。3年前は少しの滞在だったが、今回はコーヒーを飲みながら、ランチをすることができた。雪化粧の穂高連峰、焼岳、笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山、そして遠くは白山まで見渡すことができて、感無量だった。下山はまさに滑るように、登りの半分ほどの時間で、観光客にぎわう上高地へと戻った。
見上げる穂高連峰は少しだけ、晩秋の山へと戻っていた。

※この日はYAMAPの記録に失敗してしまいまして、ルートの詳細を公開できません。何卒ご了承ください。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです