日記

日本一
2018.03.30

長門市に来るのは初めて。山口県に入ってから日本一に出会っていないのでそろそろ~と思っていたら、「日本一賽銭箱に賽銭が入れにくい稲成神社(いなりじんじゃ)」があると聞いて、山の峰に風力発電が建つ妙見山を越えて日本海側に下りた。
棚田にはちょうど水を引き入れる作業中で、水源地がない地域のため、溜め池が枯れてしまう前に、田に水を張らなくてはいけないと、おじいちゃんが教えてくれた。

目当ての元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)が近づくと、県内外の車や大型バスまで、細い山道を越えて集まってきていた。入口には交通整理をするガードマンがいたり、稲成神社の目の前には山を切り崩して新たに大きな駐車場を作る工事が急ピッチで進められていた。

駐車場の脇にある茶屋で本場仕込みのたこ焼きと豚汁で空腹を満たした。こんなに人が溢れる以前から店を構えているという女将さんに話を伺うと「今のこの状況は良いようで悪いようで」という。商売としてはいいが、狸や狐が住んでいた山を切り崩して、自分たちのことだけを考えている状況を懸念していた。
3年前まではこんなに人が溢れる場所ではなかったそうだ。ここもまた角島大橋のようにインスタ映え効果の影響だろうか…たくさんの観光客が岬へと続くたくさんの鳥居を撮ったり、鳥居の上に取り付けられた賽銭箱に賽銭を入れるのを何度もチャレンジしたりと笑い声が絶えず賑わっていた。
僕もその輪に加わるように小銭を手に、鳥居のしたに立った。見上げると5メートルはあるかと思う高さに賽銭箱はあり、風を読んで投げ入れたが、一投では入らず、三投目で入れることができた。
入れると周りから拍手や歓声がわいた。賽銭箱に賽銭を入れて、拍手や歓声がわくのは日本中探してもここだけかもしれない。そういうことでも日本一といえるかな。また、たくさんの人が賽銭を入れようとすると、入らなかった小銭が雨のように降ってくるのもこの場所ならではだろう。

稲成神社の下には、日本でも珍しいもう一つの名所があり、それは龍宮の潮吹と言われ、北東風が強く吹く日に、波が岩壁の小さな裂け目にぶつかると、海上から30メートルまで、吹き上がるそうだ。その岩壁の上にたてば、あっという間に海水まみれでずぶ濡れになってしまう。お手軽に水浴びができるが、息ができないほどの潮風が襲ってくるので、風が強い日は注意したい。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです