日記

西の横綱
2018.02.23

冷え込みが厳しい湯布院の朝、振り替えると昨日登ったドデカイ由布岳がそびえていた。荒々しさを感じた山だったが、見る方角により全然違う印象がこの山にもあった。
双耳峰が猫の耳のようで、湯布院の上に座り込み、眺めているようにも見えた。

今日は湯布院からくじゅう連山の法華院温泉(ほっけいんおんせん)山荘へ。歩く距離は短いが、1日を通じて登りが続く。細い山道を歩いていると、軽トラを運転するおじいちゃんが窓を開けて、「何事か!?」と聞いてきた。バックパックを背負って、歩いている人が珍しかったのかもしれない。

その先で「奥湯布院秘境の宿奥湯の郷」の看板が…奥湯布院?湯布院にさらに奥があるのか…とひかれるように歩いていくと、小さな集落の一角に小さな湯宿があった。立ち寄り湯があるか女将さんに聞くと、ちょうどお客さんが帰ったからいいよ、とのことで、運よく利用することが出来た。

離れの浴場に行くと、家族風呂サイズの内湯と露天風呂があり、少し青みがかった白濁の温泉だった。脱衣場にある張り紙を見てびっくり、なんとにごり湯部門で西の横綱にこの奥湯の郷が番付されていた。色だけでなく、においや肌触りに温度や雰囲気などを総合して番付されているようだ。前頭三枚目には、懐かしい霧島の新燃荘が番付されていた。
にごり具合では新燃荘だが…入ってみて横綱に番付されるのがわかった。硫黄の臭いはきつくなく、肌触りはなめらかで、なんといっても、かなりリラックスできるのを感じた。
特に露天風呂は最高で、気持ちよすぎてウトウトしてしまった。

入浴後、女将さんに話を伺うと、この集落は、10世帯あり住民は14人で、皆70歳以上とのことだが、みんなで力を合わせて宿を管理して、ヤギも飼っているという。元気で活気はあるが、子供たちは皆集落を離れてしまい、跡継ぎがいない現実も話してくれた。
後世にこの名湯が受け継がれていくことを切に望む。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです