日記

猪めし
2018.02.20

思い出の町、竹田から大分市へ抜ける静かな田舎道を歩く。暖かな日差しを浴びて、春が着々と近づいているのを感じる。のどかな雰囲気の中でも、空腹はいつも通り訪れる。集落がなくなり、国道だが道は細くなる。蕎麦屋の一軒でもと望みを抱きながら、アーモンドチョコレートを口へ。
行けども行けどもお店は無く、視界は広がり、棚田がきれいな場所を歩いていても、足取りはヘロヘロ。空腹が通りすぎそうになったとき、遠くにのぼり旗が見え、もしかして…と走り出した。

のぼり旗の文字が見えると「猪肉」「新鮮野菜」とあった。地元の小さな産直かぁ~と肩を落とすと、小さな立て看板に「猪めし」の文字!
猪めし!?とどんなものかよくわからず店をのぞきこむと、人気の「猪めし」があった。パックに、炊き込みご飯かかやくご飯のようなものが詰められていた。見た瞬間お腹が鳴った。
食べやすく、おにぎりにして詰めてある方を手に取った。明るい笑顔が印象的なおばちゃんに話を伺うと、ご主人と二人で、10年ほど前から猪肉を販売するようになり、奥さんが猪肉に抵抗がある人に、食べやすく味わってもらえるように、猪めしを作ったそうだ。それが予想以上に好評で、週末には県外からもリピーターの方が買い求めにくるそうだ。
そして、大きめのおにぎりが3個入りで360円と安い。

パックを開けると、いい匂いが鼻に入ってきて、我慢するまもなく大きな一口をぱくり!思わず「ウマイ♪」と声がこぼれてしまった。全くクセがなく、猪肉の油が、口一杯に広がり、風味も絶妙でどんどん口に吸い込まれていった。耐え続けた空腹が満たされて、ホッとして落ち着いたが、美味しすぎてもう一パックに手がのびてしまう。そして、2パック目もバクバクと食べてしまった。猪肉や鹿肉など野生動物の肉は、血抜きの処理など、肉を解体する人の技術で、全然味が変わってくる。このお店は本物だと感じた。こんなに美味しく猪肉を食べたのは初めてだった。

ヘロヘロだった足に力が戻り、ルンルン気分で店を後にした。
こうして日記を書いている間もあのときのおにぎりを思い出すと食べたくなってくる。


※事務局注:あまりの空腹と美味しさのあまり撮影を忘れたとのことで、こちらを代わりに掲載いたします。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです