日記

心の目印
2018.01.29

恥ずかしい話だが、2年前に登った尾鈴山の山並みをよく覚えていない。
市房山を下山し、西米良(にしめら)村から西都(さいと)市を抜けて、木城町に着いたのは日も暮れた夜、登山当日も暗い内から出発、さらに下山後も暗くなる頃に木城(きじょう)町に着いていた。尾鈴山を少し引いたところから見たことがなかったのだ。そのため今回初めて、尾鈴山の裾野に広がる高鍋町や川南町からゆっくりと見ることができた。

地元の方に尾鈴山のことを聞くと、それぞれの町によって見え方が違うことを知った。中でも川南町の人は鯨の背と言っていることが印象に残った。
また、九州中央山地から離れているため、丸っこい山並みは遠くからでも分かりやすく、尾鈴山が見えるとふるさとに帰ってきたと実感するそうだ。そう話してくれた方のおじさんは戦地から帰ってきた時に尾鈴山が見えて、涙したと続けてくれた。
地元の人々にとって、ふるさとの目印となっている。話を聞いてみて、尾鈴山は心の目印にもなっているのだと感じた。

海から近い距離にありながら標高1,400メートルを超える尾鈴山には大小30を超える滝があり、瀑布郡としては日本で唯一の天然記念物に指定されている。ということで、尾鈴山の登山はロングコースになる。滝めぐりから稜線に登り縦走して尾鈴山を目指した。

滝は尾鈴山を代表する景色、冬の滝を見る機会も少なかったので楽しみだった。昔林業で使われたトロッコ道跡を登っていく。谷間に響く滝の音、岩肌を流れ落ちる水の脇に時間をかけてゆっくり凍りついた滝が見えた。その姿は美しく、雄大にも見えた。寒さは厳しいがこの時期だけの特別な景色だ。最後の白滝を見終えると、一気に稜線まで登っていく。谷間が滝になるのも納得がいくほどだ。

稜線はうっすらと雪化粧をしていた。雪を踏む音と差し込む日差しが暖かい。2年ぶりとなる尾鈴山山頂でランチタイム。静かな時を過ごし、下山した。
下山後に神武天皇が矢を研いだといわれる矢研の滝(やとぎのたき)を見てから、川南町へと帰った。矢研の滝を最後に見られて満足だった。

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