日記

越後の山々
2015.08.03

あと数日で関東へと突入する。しかし、その前に越えなくてはならない大きな山が3つ、名峰越後三山の八海山、中ノ岳の2つと、あの深田久弥さんも登ることが出来なかったという荒沢岳の三山縦走を今日から1泊2日の日程で挑む。

初日の今日は八海山に登り中ノ岳避難小屋まで、コースタイム約17時間半のルートだ。難所は八海山の八ツ峰の鎖場と八海山最高峰の入道岳から先の長い岩稜のアップダウンだ!

昨日と変わらず今日も、朝からすでに暑い。宿から登山口までの間にも朝早くから応援に来る方が多数いた。「たくさん水を飲んでね~」の声に、水分補給は気を付けなくてはと気持ちが引き締まった。
これからの時期は2,000メートル足らずの山での縦走は水の確保を一番気を付けなくてはいけない。山によっては、夏には枯れてしまう水場もある。
特に今年は、東北新潟辺りは雨が少ないので、山が水を蓄えていない。
地図を見ながら、今日の水場を何度も確認した。

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大倉口からのコースを倒れた石碑や崩れた祠が登山道脇に点々とする中を登る。木の間から差し込む日差しに、すでに大量の汗をかいていた。
2合目の水場は枯れていたので、次の水場6合目まで限られた水をちょびちょびと小まめに飲みながら、ギリギリで水分コントロールをしながら登った。

水分をたくさん背負いたかったが、縦走するために必要な装備を宿で補充したため、すでに昨日よりも5キロくらい重くなっていた。この時期は、ただでさえ暑さでかなり体力を消耗してしまうので、荷物が重くなればなるほど、さらに体力を使い、体温が上がり大量の汗をかく。それを補うために水を大量に摂取しなくてはいけなくなるが…そうすると体への負担が大きくなる。という感じで、悪循環にもなりかねない。
この時期は多くの登山者が共通して、「どのくらいの水を持つのが適切なのか」と悩むところだろう。

6合目の水場は豊富に流れていて、その間に失われた体の水分を一気に補給した。すると不思議と体の火照りや乱れていた呼吸も落ち着く。
次は8合目の水場で補給と考えていたが、忘れてはいけない補給をこのあと忘れてしまうことになる。
そのことで、後々もっとギリギリの暑さとの戦いになってしまうとは、予想もしていなかった。

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8合目の小屋で応援の人の写真撮影に応じたあと、1つ目の山場に入った。八ツ峰の岩場だ。
つい1週間前には滑落者が出たそうだ。明日は我が身と言い聞かせながら、ヘルメットをかぶって、鎖場へ。初めは高さも傾斜もそれほど危険という感じではないが、両サイドが絶壁になっているので、かなりのリスクとスリルを感じる。

しっかりと確認しながら、一歩一歩確実に進めば、前半は問題無いだろう、しかし、大日岳から先に進むと一変する。降りる高さ、傾斜ともに高く、急になる。鎖を使わなければ下りることができないほどで、滑りやすい鎖は自分の腕力でしっかりとブレーキをかける必要がある。
前半から比べるとかなり難易度の差を感じた。
また、鎖を固定している支点も場所によっては、緩んでいるところもあり、登り下りの最中に鎖が外れてしまう危険性も考えなくてはならない。常に登る前、下りる前に、自分で確認することは各自の責任で行うしかないだろう。

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また、ヘルメットの着用も八ツ峰では義務化してもいいのではと感じた。
これから待ち構えている妙義山や戸隠なども同じことが言えるのではないかと思う。
最後の鎖場を降りてホッと一息ついたが、八ツ峰の中には八海山の標柱はなかった。
先に進むと、最高峰の入道岳があるが、八ツ峰とは対照的に、緩やかで穏やかな山頂で、八海山の荒々しさは感じない。

10時に入道岳について、腰を下ろして、中ノ岳避難小屋までの、見るからに厳しい稜線を眺めた。
このときはじめて、水が足りるかどうか少し不安がよぎった。
1リットル以上はあるが…根拠はないがなんとかなるだろうという自信が不安になる自分を打ち消した。

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約500メートル下がり、700メートル登り返す。もちろん、その間に、細かいアップダウンを繰り返すので、総登高は1,000メートルは軽く超えるだろう。
予想通りの登りも下りも急で、かなり筋肉に負担のかかるルートだ。
歩きながら、体を休めることができない。
さらに暑さも予想以上にヒートアップしたため、水場まで中間の時間で、持っていた水分の半分以上を消費していた。

ペースは必然的に落ち、立ち止まり、日陰で谷からの風を浴びて、体を冷やす回数が増えた。水場の手前最後のピークまでの300メートルの登りは、わずか300ミリリットルとなったコーラを飲みながら、何度ももう一口と飲みたがる喉に待ったをかけつつ、最後は気力で登りきった。
眼下に雪渓と水が流れる音を聞いたときは、今日一番の喜びとなった。

入道岳を出発してから約3時間後、水場に到着。渇ききった体にたくさんの水を補給させて、1時間ほど水場で体を休めることにした。わずかな時間だが、身をもってこの時期に水分がなくなる恐怖を体感した。
もちろん、水場では5リットル以上の水を水筒などに入れて、小屋まで担ぎ上げた。なぜなら、小屋には水場がないからだが、ここまでのことがかなり教訓になっていたことは確かだ。

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最後の避難小屋までの登りは人が変わったようなスピードで登り、午後3時過ぎ、4年ぶりに利用する中ノ岳避難小屋に到着した。
小屋には先客がいたが、十分な広さがあるので、心地よく使うことができた。
心配された雷雨も南にそれたようで、霞の空に赤い夕日を見て、1日目が幕を下ろした。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです