日記

年に一度の大祭の七面山
2015.09.18

宿泊した下部温泉で、地元の方から今日から七面山は年に一度の大祭でたくさんの信者さんが山頂直下にある敬慎院を目指して登ると聞いた。
久しぶりに登山道は賑やかになりそうだ。
大祭といってもどんな祭りなのかは分からなかった。ただ、今までにもたくさんの山岳信仰を今も守り続けている山を登ってきたが、祭りのタイミングで登るのは初めてだった。
どんな雰囲気なのか楽しみだった。

ワクワクしながら11時に登山口に着くと、これから山頂を目指そうとする信者の方が登山口に集まっていた。皆さん長い数珠を首から下げ、入り口からお経を唱えて、お祈りをしながらぞろぞろと登り始める。
中には、白装束を着た修験者のような服装の方も多く見られた。
その他の信者の方々も、登山者とは違うことが分かる感じだ。一般登山者はほとんどいなかった。

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七面山は他の山岳信仰の山と同じで、登山道は参道であり、さらに母の産道をも意味する。
ただ、今までの参道とは違う雰囲気が七面山にはあった。
まず、参道の入り口から敬慎院まで、50近くの灯籠が並び、それには数字と丁目と書かれていた。
敬慎院のご住職から教えていただいたが、昔、籠を担ぐ剛力さんが、40から50歩で一度籠を下ろすらしく、その基準に灯籠が並んでいるそうだ。そのため間隔はまちまち。
さらに、白装束をまとった信者の方々は、「南無妙法蓮華経」と一歩進むごとに唱え続けていた。途中にいくつもある仏様にも必ずお経を唱えて祈っている姿を何度も見た。
皆さんそれぞれに想いと祈りを持ち登っていく姿が印象的だった。
中には、背中の曲がった90歳近いおばあちゃんも、僕が一歩で登る距離をゆっくり5歩で登る姿を見たときは驚きと強い意思を感じた。

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敬慎院に立ち寄り、それから七面山の山頂に向かった。敬慎院から続く登山道に入ると雰囲気は一変した。松林と一面笹におおわれた地面、松には櫛形山で見たような奇妙な苔が垂れ下がり、統一感のある森となった。
予想外の変化に、参道の雰囲気もいいが、自然が作り出す景色の方もまた魅力が溢れていると感じた。

天気予報は曇りのち晴れだったが、七面山だけは雨だった。
考えてみれば、山頂はほぼ2,000メートルもあるのだから、地上の天気予報通りにいかなくても不思議ではない。
七面山なので、七面相をカメラにおさめてから、再び敬慎院へ戻った。

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敬慎院へ着くと、仏様のような穏やかな顔をしたたくさんのお寺の方々が「お疲れ様でした。どうぞ上がってください」と大きくもやさしい声で、大祭のために参道を登ってきた信者さんを温かく迎えていた。
最初、僕も頭の感じから大祭の参加者と間違えられた。参加者ではないのに、「お疲れ様でした。どうぞお茶でもあがっていってください。」と声をかけていただいた。
すでに午後1時を過ぎていたので、雨のなか続々と到着する信者さんや迎える僧侶の方々で、敬慎院はにぎわっていた。
そんな忙しい最中、大祭の参加者ではない登山者にもお茶をどうぞとお声をかけてくださる心に、感謝と一つ勉強をさせていただいた。

囲炉裏の上に見たこともない大きさのやかんが釣り下がっている談話スペースで温かい味噌汁とコーヒーまでごちそうになってしまった。
その時に、親切にもお寺の方が大祭の由来を説明してくださった。
日蓮大聖人のお弟子さんが七面山に登ったときに、今の敬慎院がある場所で、一晩を過ごし、翌朝池の中から竜神様が現れたらしく、その日が9月19日だったことから、毎年大祭として、前日の18日から夜が明けるまで一晩中、太鼓の音とお経を唱え続けるそうだ。
また、年2回春分と秋分の日には、朝日が真東から昇り、敬慎院の入り口となる門から、日が差し込むとその光が一直線に本堂まで届くそうだ。
昔の人はどうやってそれを計算したのかは分からないそうなのだが、見事らしい。
この他にも、富士山を挟んだ向こう側の千葉県にも同じ日蓮宗のお寺があり、一直線上に出雲大社まで続いているそうだ。
次回は、ゆっくり敬慎院で泊まって、太陽が門を通り本堂へ差し込む瞬間を見てみたいと思った。

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名残惜しさはあったが、先があったので、お礼を伝えて、雨畑に向かった。
何度も手を合わせながら、「ご無事を祈ってます」と見送っていただいて、とても温かい気持ちになった。奥の院でも、お茶をご馳走になり、今はほとんど使われていないという裏参道から下山した。
途中、かなり崩落していて落石が起きやすく、参道も消えていたので、登山道として利用するのは、あまり好ましくないと感じた。
結局、下山はどしゃ降りとなり、2日続けてずぶ濡れで宿に到着することになった。

明日から、再び南アルプスに入る。
シルバーウィークは連日晴れるようなので、久しぶりにいい景色が見られそうだ!

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