日記

島原湾復路
2015.12.22

最後のシーカヤックとなる朝がきた。
一昨日の往路で干満の影響は島原湾横断にあまりないと分かったので、今日も干潮の時間帯の朝8時に出発を予定した。
往路の時よりも日中は暖かくなりそうだったが、ドライスーツ(よく寒い時期に着ることが多く、完全防水スーツのような感じ)を選択。
今日は着るほどの気温ではないが…身体的な理由のため着用することにした。
シーカヤックを長時間漕いだことのある人は、経験があるだろう。

夜が明ける前から準備を始めて、8時前に出発準備を整えた。
対岸は朝靄の影響で何も見えない。往路の時よりも視界が悪い感じだ。だが、平日のためか海上の船は少ない。とは言え、安心は出来ない。

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海上の波風をじっくり見つめ、気持ちを引き締めてカヤックに乗り込んだ。
出発から最初の1時間は北風がやや強く、引き潮の潮流と風向きが同じ方向だったため、波も多少強く、流されないように耐える時間が続いた。
また、フェリーや高速船の航路と交差するために、緊張の時間となった。
1時間が経つと海底の地形が変わったためか、波は穏やかになり、先程までの緊張も少し和らいだ。

広大な海苔養殖の定置網の中を抜けていくと、海苔養殖の船が何隻も海苔の収穫に励んでいた。
たらい舟のような専用の舟が、動力を使わずに定置網の中を動き回っているのが見える。
また、迷路のような定置網の間を動力船も時間の経過と共に増えていき、再び緊張感が高まった。
定置網地帯から、さらに水位が浅くなると、物干しのような養殖地帯が広がる。海底にパドルが届きそうなくらい浅いので、船は少ないが、浅いとシーカヤックの進みは遅くなる。なぜなら、ほぼ止まっている水の上を通ると、水がカヤックの動きに合わせて動き、この時に水深が浅いと海底に接している水も一緒に動くので、海底と動く水の抵抗がカヤックにも伝わり、カヤックの底が海底を引きずりながら漕いでいる感覚になる。
なので浅ければ浅いほど、その抵抗は大きくなる。

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この時も、物干しのような養殖地帯を抜けて、上陸場所の緑川の河口が近くなるにつれて、潮がさらに引きどんどんカヤックが重くなった。
「うわー重ーい!!」とブツブツ独り言を言っていると、前方に海の上で何やら仕事をしている人が多数見えた。どんどん近くなると、アサリやしじみを取るときに使う大きな棒のついたかごを海底に沈めて、棒に体重をかけながら、リズミカルに引いて、海底に隠れている貝を取っていた。
すぐ脇には貝を入れるタライが浮かんでいる。
仕事に励んでいる地元の漁師さんたちは、僕がシーカヤックに乗って現れたから、キョトンとしていた。

「こんにちわ~」と声をかけると、
「こんちわ!あんたどこからきたの~?」と聞かれたので、
「島原から渡ってきました!」と返すと
「ひょえー!?」て驚かれた。
そりゃそうだと思いながら、さらに進むと一層リズミカルなステップを踏みながら、かごを引くおじさんがいたので、話しかけてみた。
「こんにちわ~アサリが取れるんですか?」と聞くと、
「ハマグリだ~見るかい?」との言葉に大きなタライの中を見せてくれた。
底を満たすほどの色んな種類の貝があったが、実際に商品になるのはほんの少しだと教えてくれた。漁師歴40年というおじさんはハマグリを手に、「昔はこのタライ山盛り採れたけね~色んな貝がとれたらいいけんが…ハマグリしかとれんけん、取りすぎで数が少なくなったけんな~」と教えてくれた。
40リットルはあるタライが一回の漁で一杯になったのが、今は底を満たすほどとなった。

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「昔はサラリーマンを笑っとったが、今は逆に笑われとるでね~ハッハッハッ」と白い歯を見せながら笑う60歳のおじさん。麦わら帽子をかぶりながら、小麦色に焼けた肌と海に降り注ぐ太陽の日差し、そして、軽快なステップを踏みながら漁をする姿がかっこよかった!

おじさんの姿に見とれていると、「そろそろ行かんと渡れんくなるよ~」と言われ、ハッとして漕ぐとかなり引いてしまっていた。辺りを見回すと、ハマグリ漁をしている辺りだけ、海底がの砂がたまっているために、干潮になると海底が現れるようだ。
「ありがとうございました!」と頭を下げて漕ぎ出したが…直ぐにカヤックの底が海底を擦ってしまい、乗ったままでは進めなくなってしまった。
「ダメかぁ~」と言って、潔くカヤックから下りた。初めて海を横断中にカヤックから下りて、カヤックを歩いて引きずることになった。予期せぬところで、歩くことになったため、予定の到着時間を超えてしまったが、海の上での漁師さんとの立ち話はいい思い出となった。

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100メートルほど引きずり、再び深くなった所でカヤックに飛び乗り、急げーと漕ぎ始めたが、さらに予期せぬことが。引き潮のため、川の水位が下がり、満潮なら流れていないはずの川がいい感じに流れていた。約1キロほど川の流れをさかのぼることになった。この流れが島原湾往復で一番強い流れとなってしまった。

結局、予定よりも30分ほど遅れて、3時間半で再び熊本県に戻ってきた。
上陸地点にはサポートの友人夫婦やSOUTHERN WORKSの方がすでに待っていてくれた。その他にもたくさんの応援の人たちもいて、皆さん笑顔で迎えられ、最後のシーカヤックを無事にやり遂げたことを実感した。
去年は最後のシーカヤックでかなり苦戦したため、最後の最後まで気を抜けなかったが、これで、ようやく海の不安から解放されて歩くことができそうだ♪

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津軽海峡横断から始まったシーカヤックも両親や友人、知人、シーカヤックをレンタルしてくれたショップの皆様の手厚いサポートによって実現し、無事に達成することが出来ました。
本当にありがとうございました!
ゴールまで4座、500キロだ~!

 この日記に書かれている場所はこの辺りです