日記

再び南アルプスへ
2015.09.19

緊張の朝がきた。無意識に緊張が高まった。
理由は昨晩の夢…
笊ヶ岳に登り、崩落した斜面をトラバース中にロストして、椹島に到着が夜8時に。椹島ロッヂに宿泊できず、無人の登山小屋で一人寂しく行動食を食べる。

そんな夢を見てしまえば、内容がタイムリーすぎて、正夢になるのでは!?と意識してしまう。
また、昨晩に地元の消防の方々が、一昨日の大雨で登山道の一部が土砂崩れで幅50メートルくらいにわたって崩落したことを連絡してくれた。
僕の挑戦を知って、どうか達成してほしいという気持ちで、休日にも関わらず、明日の朝イチで山に入り、崩落した斜面にロープとステップを切ると言ってくれた。スゴイありがたいことだ。もちろん理由は他にもあり、今日からシルバーウィークに入るため、たくさんの登山者が通過するからだ。

笊ヶ岳に挑む前に、度々応援の方から「山梨県の山の中では一番険しく大変だよ~」と言われてきた。
地図を見ても、出発地の雨畑から山頂までの標高差は軽く2,000メートルを越える。さらに、椹島への下山道へ入るまで、水場は一ヶ所もない。さらにさらに!渡渉地点から布引岳まではコースタイム6時間半、標高差は1,700メートル近くもある急登が待ち構えている。

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急峻な谷間の先には、目指す布引岳がくっきりと見えた。林道の終点から登山道となり、7時過ぎに通過した。谷の中をトラバースしていく登山道はいたるところで落石があり、いくつもの橋が潰れていた。
山側からはたくさんの水が岩の隙間から吹き出し、まだ大量の雨水を山が蓄えていることが分かる。

林道の終点から間もなくして、崩落地に到着した。昨晩写真で見せていただいたイメージよりも、ずいぶんと規模が大きかった。一昨日の崩落のため、まだ落石の危険性も高く、流れ出た土砂からは水が流れていた。ちょっとでも強く雨が降れば、さらに崩落が進みそうな雰囲気だ。
地元の消防の方がすでに作業をしていて、ステップが切られていて、誘導の虎ロープも設置されていた。
ヘルメットをかぶり、慎重に通過、お礼を伝えて先へ進んだ。
この先の渡渉地点を越えると、あとは体力勝負となるので「頑張って」の笑顔が嬉しかった。

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気合いを入れてペースアップ。渡渉地点は予想通り水量が多かったので、靴と靴下を脱いで渡った。急登を軽快に登るためにも、足のコンディションを優先した。
まずは最初のコースタイムの起点までの時間を計測する。そうすることで、今日の自分のペースがコースタイムのどれくらいなのかがわかり、その先のタイムスケジュールが組み立てやすくなる。

登山地図のコースタイムは一律ではなく、エリアや登山道の条件によっても大きく変わってくるから、最初の起点でコースタイムに対する自分のペースの割合を確認するようにしている。
最初の起点まではちょっといつもよりペースを上げたのもあり、コースタイム70分のところを20分で通過した。それにより、布引岳までの急登はコースタイムの30%で登れることが、イメージできた。
渡渉地点を8時前に出発したので、10時過ぎには布引岳に登頂できるとイメージ、笊ヶ岳には遅くても11時には登頂できると想定した。聞いていた通りの急登はかなりタフだったが、急登好きとしては、申し分ない感じだった。
急登は頑張れば頑張るほどに標識がどんどん上がっていくから好きだ。

2,000メートルを超えると森の雰囲気も変わり、南アルプスらしい感じとなった。稜線に出ると、布引岳までは西側の崩落した斜面の際を登る。
2,500メートルを超えると、登山道の脇の低木が赤く色づいているのが目立った。南アルプスも秋が深まり始めている。

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布引岳には渡渉地点から2時間で登頂したので、少し休憩してから笊ヶ岳に向かった。
向かっている途中から雲がどんどん高くなっていることがわかり、木の間から上河内岳が見えた。
山頂はもうすぐそこだ!
久しぶりに南アルプスの大展望が見れそうで、胸が高なった。

10時半過ぎに58座目の笊ヶ岳に登頂した。
山頂はこじんまりとしていたが、西側には聖岳や上河内岳等が見えた。東側は雲の壁で、富士山は見えなかったが、この連休で空気が乾燥していけば、南アルプスのどこかで見れそうだ。

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予定より30位早く着いたので、久しぶりに山頂でのんびりした。
居合わせた他の登山者も笑顔で山頂の時間を過ごしていた。
1時間ほどのんびりしたあと、夢に出てきた椹島への下山道へ。難所は上倉沢からのトラバース道。事前の情報では、崩落しているところがあったり、道がわかりにくくなっている所があると聞いていた。
正夢にならないようにと、集中するように自分自身に命じた。

歩いていて楽しい登山道を抜けると、上倉沢の広い沢に出た。そこから100メートルほど下がると、岩の下から南アルプスの天然水があふれでていた。
一口飲むと、まろやかな喉ごしに自然と「ウマイ♪」と言葉が出た。

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上倉沢から6つの沢と尾根を横切りながらトラバースしていく難所になった。一番の集中力が試される場所だ。
夢の影響もあり、いつも以上に慎重な足取りで確実に通過することができた。情報ほど崩落は激しくなく、マーキングや踏み跡もしっかりしていたので、振り返ればいつも通りスムーズに下山することができた。

七面山の裏参道の方がよっぽどリスクが高いと感じた。同じ破線ルートでも、実際に歩いてみると、印象は全然違う。破線でも登山者が多いところは、実線ルート並みの登山道の状態に近い。
でも、気になったのはトラバースを終えてから緩やかな尾根を下り始めたルートだ。
マーキングはあるが、足元ばかりを見ていると道をはずしやすい感がある。
落ち葉におおわれた登山道は、一見どこでも歩けそうな感じだが、登山道をしっかりトレースできないと左右に外しやすい。特に右側の尾根(斜面)に流れていきそうな感じがあった。

南アルプスは道迷いの遭難が多いと聞く。北アルプスほど道標が充実していないのはあるが、植生による影響もあるのかもしれない。そう感じながら、1時半に無事下山口に到着した。

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初めての登山基地椹島はシルバーウィーク初日ということもあり、到着するバスから次々と人が降りてきた。僕は入浴時間までの間、笊ヶ岳からの下山で熱をもった体をクールダウンさせるために、南アルプスの天然水が流れる川でアイシングをした。
昨年の梓川ほどではなかったが、いい感じの冷たさだった。
特に熱をもった脚をそのままにしておくと、翌日の疲労度が全然違うので、しっかりと冷やした。
久しぶりに暖かくなったため、脚の熱も上がったようだ。2,000メートルの急登をハイスピードで登れば、脚も熱くはなる。

日が暮れてからも、椹島に宿泊する登山者の列は途切れず、ロッヂのスタッフも大忙しで誘導に追われていた。さすが登山基地!
明日の明朝は僕が目を覚ます前から、多く登山者がそれぞれの目的地となる山へ繰り出していくのだろう。僕はみんなとは違う方向へ一人歩き出す。

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 この日記に書かれている場所はこの辺りです