日記

まさかの70キロ13時間
2015.09.05

まさかこんなハードな1日になるとは…南アルプス北部の難所としていた2座を無事に終えて、気持ちではかなりほっとしていた。
予定では、ちょっと距離は長くなるがそれでも50キロほど、今日登る櫛形山は登山口から山頂までは1時間もかからず、下山も1時間ほど、登山道も危険なところはない。
1日でハードなのは奈良田から登山口までの標高差1,000メートル以上の丸山林道の登りくらいだろう。

6時過ぎに宿を出発、4キロ先の丸山林道の入り口へ。事前の確認では車両通行止めと聞いていて、徒歩での通行はできると聞いていたが…ゲートの前に来て愕然とした。
最近設置されたのか新しい張り紙があり、そこには「徒歩での通行も禁止する」とあった。
設置主の名前はなかったので確認もできず、また、週末だったため役場にも確認ができなかった。

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仕方がないので、すぐに気持ちを切り替えた。今までにも予定していたルートが通れないことはあった。
地図を広げ現在地から、櫛形山に他のルートから行く方法を確認した。
すると…スゴい遠回りになる事がわかった。
以前、冗談で「丸山林道が歩けなかったら、どえらいことになるな~」と言っていたようにどえらいことになった。

そのルートは奈良田から南アルプス林道を広河原方面に歩き、途中の発電所から吊り橋を渡り、鷲ノ住山を経由して夜叉神へ。そこから芦安温泉まで下りて、櫛形山を西側からアプローチする登山道に続く林道を登り、北尾根コースから山頂まで行き、下山から宿までは予定通りという感じだった。

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距離はざっと70キロほど、マジかぁ~という距離になった。
行くしかない。仕方ない!と気持ちを切り替えて、走り始めた。
3時間半ほどで夜叉神まで進み、一気に芦安まで下りた。初めてきた芦安には週末南アルプスに来ている登山者の車が多数停まっていた。
その多さに少し驚きながら芦安を抜けた。

林道をひたすら登り、なんとか予定通り午後1時過ぎに登山口に到着した。
そこから山頂までは、いつもの倍速で登った。
櫛形山の雰囲気は南アルプスのツガやシラビソの樹林帯とは違い、独特な形の松の大木や木の枝に苔が垂れ下がり、少し不気味な雰囲気があった。
癒されるような苔の雰囲気ではない櫛形山だけの世界にキョロキョロしながら、午後2時半に登頂した。

山頂には寒い中、僕の到着を待ちわびた登山者が多数。皆さんの笑顔に少しほっとした。
櫛形山ということで手櫛を表現したが…髪がないので手櫛には見えず…ということで、応援登山者の方から櫛を借りちゃいました!

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山頂で腹ごしらえをして、下山を開始した。まだ宿までは25キロも残っていたので、先を急いだ。
下山途中で思わぬ来客が!それはなんと!トレイルランニング界のスターであり、高校の先生でもある山本健一さんが生徒を連れて登ってきた!

つい先日、ヨーロッパのビックなレースで2位となり、帰国したばかりなのにすでに走っていることにも驚いた。
直接お会いするのは初めてで、自分にとっては雲の上のような人に緊張してしまった。
目の前には僕を見て、少し緊張気味の生徒が3人。みんないい顔をしている。

話を聞くと、僕が櫛形山に登っていると聞いて、練習の内容を変更して、午後はよーきに会いに櫛形山を走るという練習になったらしい。
さらに今、山本先生が教えているのはスキー部、さらにさらに、このとき走ってきた生徒は今年からクロスカントリースキーを始めたということで、自然と嬉しくなった。
ここ10年でクロスカントリースキー人口は激減している、そのなかで今年から始めましたと聞いて、勝手に先輩の気分になった。

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簡単に挨拶を交わすと山本先生が、
「ほらみんな、本物の田中さんだぞ~!一緒に走りながら、一人ずつ質問しろ~めったにない機会だからな!」
その言葉に促されるように、先頭をいく僕の後ろを一人ずつ生徒がピッタリとついて走り、それぞれに思っていることについて質問を受けた。

「旅の中で苦しかったり、大変なことがあると思いますが、そういう時はどうしてますか?」
「大きな大会で緊張するときはどうしてますか?」
「練習が辛い時はどうしてますか?」

など目標に向かう高校生らしい質問を受けた。
走りながら、それぞれに僕なりの回答をしていて思った。今の自分が話していることが、16年前気づいていれば、もっと高い目標を達成できただろう。しかし、僕の場合はその倍の年月をかけて気付いた。僕が彼らに話していることも、多分僕が実感していることの10分の1も伝わっていないだろう。百聞は一見にしかずとあるが、言葉で聞いて知ることは簡単だが、その言葉に行き着くまでのプロセスや経験までは得ることはできない。
百聞では体験、経験にはかなわない。
いかに自分からアクションを起こし、人一倍に動き、経験し体験して、考えて答えを導き出していくことができるか。言葉は巧みであたかも自分が経験したかのような錯覚になることもあるかもしれない。しかし、本物ではない。言葉で満足するか…満足しないかはそれぞれだが、大切なのは自ら一歩を踏み出してみることだ。
言葉には力がある。その言葉をきっかけに実行してみてほしい。
そして、有言実行達成まで…そんなことを感じながら下山口にあっという間に到着した。

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最後に山本さん、生徒たちと写真を一枚撮って、残り20キロに向けて走り出した。午後7時、へとへとになって宿に到着した。
夜は、久しぶりの70キロで体の熱が下がらずなかなか眠れなかった。
明日は体がどうなっちゃうかな~。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです